研究課題/領域番号 |
21H02009
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
東原 知哉 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (50504528)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | 半導体高分子 / ブロック共重合体 / シーケンス制御 / 伸縮性 / 有機薄膜トランジスタ |
研究開始時の研究の概要 |
ウェアラブル端末に搭載される有機半導体のフレキシブル化・ストレッチャブル化に大きな注目が集まっている。有機半導体は一般に硬くてもろく、外部変形応力に脆弱であることが本分野発展の足かせとなっている。本研究では、高分子合成化学を駆使したブロック共重合体のシーケンス制御技術を軸足とし、それらの自己組織化を利用することで、一般に二律背反する「半導体特性」と「伸縮性(弾性)」を解消するために必要十分なブロックシーケンスの基準を明らかにし、高効率かつ伸縮応力に耐えうる新規有機薄膜トランジスタ材料群を創出する。
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研究実績の概要 |
本申請課題では、高分子合成化学を駆使したブロック共重合体のシーケンス制御技術を軸足とし、それらの自己組織化を利用することで、一般に二律背反する「半導体特性」と「伸縮性(弾性)」を解消するために必要十分なブロックシーケンスの基準を明らかにし、高効率かつ伸縮応力に耐えうる新規有機薄膜エレクトロニクス材料群を創出することを目的とした。本研究では、研究実施計画に基づき、シーケンス制御トリブロック共重合体の合成法確立を目標とし、種々のポリマー合成及び解析を行った。特に、本年度は、A-b-(B-co-C)型、ABA型、及びABC型の新規シーケンシャルポリマーの開発に注力した。A-b-(B-co-C)型サンプルにおいては、AおよびB-co-Cはそれぞれ、レジオレギュラーなポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)およびポリ(n-ブチルアクリレート-co-アクリル酸)セグメントに相当する。得られたポリマー薄膜のAFMおよび光学顕微鏡像から、100%まで伸長してもクラックが全く発生しないことが確認された。これは、共重合体セグメントに含まれる低Tg誘導性のn-butyl acrylateと水素結合をもたらすアクリル酸の繰り返し単位が相乗効果を発揮したためと考えられる。また、ポリマー薄膜を用いた有機トランジスタメモリの作製を行い、評価した。その結果、転写/伸長されたポリマー薄膜は、電気的な書き込み/消去処理を施すことが可能で、伸長歪に大きく依存することなくデバイス性能を維持し、安定した電子特性を発現することが示された。別途、ABA型(A=ポリイソブテン、B=ナフタレンジイミド含有n型半導体高分子)及びABC型(A=ポリメタクリル、B=P3HT、C=ポリスチレン)の新規シーケンシャルポリマーの開発にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請課題では、高分子合成化学を駆使したブロック共重合体のシーケンス制御技術を軸足とし、それらの自己組織化を利用することで、一般に二律背反する「半導体特性」と「伸縮性(弾性)」を解消するために必要十分なブロックシーケンスの基準を明らかにし、高効率かつ伸縮応力に耐えうる新規有機薄膜エレクトロニクス材料群を創出することを目的としている。シーケンス制御トリブロック共重合体の新たな合成法開発に成功しており、100%伸長歪みにも耐えうる半導体薄膜を得ることに成功した。さらに、得られたポリマーを用いた有機トランジスタメモリの作製・評価の結果、良好な電子特性を示したことから、おおむね順調に研究が進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、半導体高分子の合成、薄膜の熱・光特性、集合体構造の評価を行うことで、ポリマーの一次構造と薄膜中の集合体構造との相関を明らかにする。さらに集合体構造と力学特性・電子特性との相関を明らかにすることで、伸縮性有機薄膜エレクトロニクスの高伸縮化・高効率化に資する半導体高分子の設計指針を確立する。 具体的には、下記項目を検討する。 ①得られた半導体高分子のTG/DTAおよびDSC測定により熱特性を評価する。②半導体高分子の溶液および薄膜状態でのUV-visスペクトル測定を行う。③AFM-MAにより半導体高分子薄膜の弾性率を評価する。④薄膜のAFM測定により、材料表面のモルフォロジーを確認し、RMS値を算出・評価する。⑤薄膜のGIXS測定を行うことで、ポリマーの結晶構造、結晶配向性、自己組織化構造のナノ・サブナノレベルの階層的モルフォロジーの解明を行う。⑥PDMS支持基板およびシリコン基板を用いた二段階転写法により、0-100%の引張歪を印加した薄膜を作製し、それら階層的モルフォロジーの変形挙動をAFM、GIXS測定により評価する。⑦半導体薄膜を用いた有機薄膜エレクトロニクスデバイスを作製し、それらの電子特性を評価する。
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