研究課題/領域番号 |
21H02011
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
平田 修造 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (20552227)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
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キーワード | 室温りん光 / 蓄光 / マテリアルズインフォマティクス / 三重項失活 / 計算科学 / りん光 / 三重項励起子 / 熱失活 / 無輻射遷移 / 項間交差 / 三重項励起状態 / 非放射失活 / 無輻射失活 / 量子化学計算 |
研究開始時の研究の概要 |
室温での三重項状態からの失活過程の抑制は三重項のエネルギーを発光や光電変換過程で有効的に活用していく上で重要である。本研究では分散系および凝集系共役分子固体の室温三重項失活速度の推定法を構築する。室温の三重項失活過程を分子振動由来の非放射遷移速度[knr(RT)]と分子間エネルギー移動をトリガーとした失活速度[kq(RT)]の2つを実験的に分離する。knr(RT)の実験値に対しては、振動スピン軌道相互作用とフランクコンドン因子を加味した計算法を提案し相関性がよくなる計算条件を見出す。kq(RT)の実験値に対しては、分子間の三重項励起子拡散を計算し実験値と相関性がよくなる計算条件を見出す。
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研究実績の概要 |
本研究では、分子固体の室温での三重項失活速度の推定法の確立を目的としている。三重項失活速度の推定法を正しく推定するためには、材料の三重項からの輻射速度(kp)、三重項からの非放射遷移速度(knr)、および三重項からの分子間電子移動を経由した失活速度(kq)の3つを少なくとも定量的に議論し、推定可能な計算法を見出すことが必要となる。 本年度までに、knrに関しては20のさまざまな種類の有機分子や錯体に関して、室温エネルギーでの全振動による分子配座変化を考慮したスピン軌道相互作用を計算することで、実験値との良好な相関が取れることを確認している。この手法を用いると、さまざまな分子のknrが推定可能となることを学術論文で報告した。 kpの推定に関しては、これまで計算量コストの問題から、室温の熱による振動や室温の熱によって統計的に生まれる配座変化が考慮された計算は行われてこなかった。本年度は、その計算法に切り込み、室温の熱による振動や室温の熱によって統計的に生まれる配座変化によりknrが増強されずにkpのみが増強される分子群が存在することを明らかにした。knrが増強されずにkpのみが増強される分子群のサイエンスとして、ヘテロアトムの共役系の面外振動が誘起する系を学術論文で報告し、分子の対象性が崩れる系は学術論文の投稿準備中である。これら論文の中で、全振動考慮型のkp計算法とキーとなる振動のみを変動させるkp計算法を提案した。 またkq に関しては、さまざまなゲスト分子を絶縁ホスト分子に分散した材料を評価する中で、ホスト分子の動きとゲスト分子のT1とS0間のスピン軌道相互作用の両者がかかわる失活モードが存在することを統計的に明らかにし、学会で発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
材料の三重項からの輻射速度(kp)、三重項からの非放射遷移速度(knr)、および三重項からの分子間電子移動を経由した失活速度(kq)の3つを実験的に定量するとともに、その3つを推定可能な計算法を見出す取り組みを行っている。 kpの実験的な定量化に関しては、項間交差収率を実験的に計測することで対応ができている。kpの計算による推定に関しては、全振動モードやキーとなる部分振動を取り入れた量子化学計算を実施することで、実験値と計算値の相関性の大幅な改善が確認されている。 knrの実験的な定量化に関しては、りん光収率や寿命の温度依存性を評価し、アレニウスプロットを構築することで決定することが可能になることを示している。knrの推定に関しても三重項の全振動を加味したスピン軌道相互作用を計算することで、実験値との良好な相関性が得られることを確認した。 kqの実験的な定量化に関しては、三重項の全熱失活因子からknrを引くことで定量的に評価している。脱酸素下でのkqは、主に色素から周囲への電子移動や電子交換が関係することが説明されてきたが、2022年度にさまざまなゲスト分子を絶縁ホスト分子に分散した材料を評価する中で、ホスト分子の動きとゲスト分子のT1とS0間のスピン軌道相互作用の両者がかかわる失活モードが存在することを統計的に明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
kpの部分振動計算を用いた手法により、ドナー-共役-ドナー骨格において分子の対象性を崩した方が、kpがknrに対して選択的に向上することを示唆する結果を得ている。そのためドナー-共役-ドナー骨格において対象性が崩れる分子を戦略的に合成し、赤色や近赤外領域における長寿命室温りん光収率の向上を目指す。 kqに関しては、ホストゲスト固体材料においては、ホスト分子の動きとゲスト分子のT1とS0間のスピン軌道相互作用の両者がかかわる新たな失活モードが存在することが実験的に確認されてきている。最終年度はその新しい失活モードのメカニズムをより明瞭にする意味で、QMMM法を用いてそのような失活モードが計算科学を用いて推定することが可能かどうかを検証する。
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