研究課題/領域番号 |
21H02016
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
小畠 誠也 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (00325507)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
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キーワード | フォトクロミズム / 結晶 / フォトメカニカル / ジアリールエテン / 相転移 / アントラセン |
研究開始時の研究の概要 |
有機フォトクロミック結晶のフォトメカニカル効果は分子1つ1つの収縮・伸長によって結晶全体のサイズが変わり起こる現象で説明できる。光誘起屈曲挙動については結晶の光照射面側が優先的に反応し、一種のバイモルフ型の屈曲を示す。さらに、斜め方向の収縮が起これば、結晶のねじれが観測される。しかし、これらでは説明できない現象が現れてきた。そこで、本研究では、可逆な熱的相転移を示すジアリールエテン結晶の探索を行い、特異な形状変化のメカニズムを明らかにする。さらに、特異な変形に及ぼす様々な外部要因(例えば、結晶外形依存性など)を検討し、フォトメカニカル材料の応用へのアプローチを行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、有機フォトクロミック結晶のフォトメカニカル現象のうち、特異な変形挙動の解明とフォトメカニカル現象への新規な材料設計を進めている。これまで研究してきたフォトクロミック結晶のフォトメカニカル挙動には、伸縮、屈曲、ねじれなど単純な動きであった。令和3年度には、これらの単純な動きとは異なり、異常なフォトメカニカル挙動の創出とその現象の解明に着手し、ジアリールエテン双晶における異常な屈曲挙動のメカニズム解明、ジアリールエテン結晶における光誘起高速ピーリング、9-メチルアントラセン結晶における特異な光反応と結晶サイズ変化、ジアリールベンゼンのナノ粒子作成とそのフォトクロミック挙動、ジアリールエテン結晶の特異な光誘起往復運動に取り組んできた。令和4年度には、引き続きジアリールエテン結晶の特異な光誘起往復運動に関する研究に取り組むとともに、新たな光誘起往復運動を起こす結晶が見つかった。これらは相転移を伴うフォトメカニカル挙動であると考えられる。さらに、分子構造の観点から、新しいジアリールエテンの結晶フォトメカニカル挙動についても検討し、屈曲速度と分子構造の関係について検討している。様々な形態の結晶のフォトメカニカル挙動を明らかにすることが本研究のねらいであることから、結晶成長過程の制御も試みている。昇華による結晶化における基板の濡れ性と結晶成長方向の関係を調べることにより、結晶形態の制御に成功している。さらに、2,5-ジスチリルピラジンの結晶固体光重合においてエッジから中心に向かって反応が進行することを見出した。この特異な反応は分子の周りの環境により反応性が異なることを意味しており、反応分子周りがルーズになると反応性が高くなることを明らかにしている。以上のように、特異なフォトメカニカル挙動の創製とそのメカニズムの解明に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、有機フォトクロミック結晶のフォトメカニカル現象のうち、特異な変形挙動の解明とフォトメカニカル現象への新規な材料設計を進めている。令和4年度には、主にジアリールエテン結晶の特異な光誘起往復運動、新規ジアリールエテンの結晶フォトメカニカル挙動、結晶成長制御、特異な光反応挙動などを行ってきた。これらは本研究計画である特異なフォトメカニカル現象の創出と解明に密接に関わっており、特異なフォトメカニカル現象の解明が新たなフォトメカニカル現象の創出につながるため、今後の研究を推進するための重要な成果と考えている。これらに関しては論文執筆済みであり、令和4年度の既発表学術論文6報、学会発表29件を合わせ、十分な成果を発表しており、おおむね順調に進展している。さらに、特筆すべき点として、Wiley社のAngewandte Chemie International Edition誌のInside Coverに研究内容が紹介され、大学プレスリリースおよび国内外での各種webサイトでの掲載など研究成果が紹介された。また、Wiley社のChemistry-A European Journal 誌にFrontispieceとして研究成果が紹介された。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は最終年度にあたり、これまで見つかった二例の異常な3段階光誘起屈曲挙動に着目し、そのメカニズムを明らかにする。昨年度まではこの現象の際に熱量変化が観察されなかったため相転移は起こっていないと結論付けていたが、二次の相転移の可能性が現れた。この点について、さらに明らかにする予定である。結晶作製、X線構造解析、フォトクロミック反応挙動解析、示差走査熱量分析を行い、多形や相転移の有無について調べ、メカニズムの解明に取り組む。また、UV照射時における室温での光誘起相転移について、UV照射と同時に示差走査熱量測定を行い、光誘起相転移の有無について検討する。さらに、粉末X線回折で多形と相転移について詳しく検討する。相転移前後での単結晶X線構造解析により、空間群の変化(通常は変化しない)、セルパラメータの変化、および分子のコンフォメーション変化を明らかにするとともに、結晶の伸縮についても検討する。さらに、主鎖にジアリールエテンを有するジアリールエテンポリマーを合成し、延伸による分子配列の制御を行い、フォトメカニカル挙動について検討する。この材料では任意の形状に切断可能であるため、屈曲だけでなく、ねじれなどのフォトメカニカル挙動も実現が可能であると考えられる。さらに、形状記憶メモリ効果などのアプリケーションを目指す。
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