研究課題/領域番号 |
21H02018
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
西出 宏之 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (90120930)
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研究分担者 |
須賀 健雄 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (10409659)
篠原 浩美 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 次席研究員(研究院講師) (70339703)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 有機機能材料 / レドックス反応 / ホール輸送高分子 / 光触媒 / 水分解 |
研究開始時の研究の概要 |
ポリチオフェンおよびポリアリールアミン誘導体などの薄層フィルムが、固有なホール輸送能の他に、水分子の還元/酸化反応の触媒能を兼ね備え、光照射下での水分解(水素/酸素発生)に作動することを実証する。電荷分離輸送/界面での水分子への電荷注入の化学を有機高分子薄層を対象に問い掛け、有機高分子材料の湿式・光触媒として潜在性を明らかにする。環境適合・次世代エネルギー源としての水素・過酸化水素のon site製造法に繋がる実験でもある。
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研究実績の概要 |
ポリチオフェンなどホール輸送性共役高分子の薄層が、固有な光吸収能と電荷輸送能の他に、水分子の酸化反応の触媒能を兼ね備え、いくつかは光照射下でも促進され、水分解(酸素ガス発生)に作動することを実証した。界面での水へのホール注入の化学的な意味を有機高分子薄層を対象に議論し、有機高分子材料の湿式・(光)電気化学触媒としての高い可能性を明らかにしている。 (1) ポリチオフェン誘導体(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリ-3-ヘキシルチオフェン、P3HT)の薄層を集電基板上に形成し、親水性高分子(ポリヒドロキシエチルメタクリレート)で固定した。暗所、アルカリ水中での正電位印加により、基板単独に比べ、水の酸化電流は過電圧低く開始し(電位1.5-1.6V)、電流値は大きく(サブmA/cm2)、酸素気泡の発生も観測された。特に、リン酸、フチン酸添加の水溶液で顕著で、これら対イオンはポリチオフェンのドーパントとして機能し、小さなTafel勾配から触媒的な作用として示唆された。親水性高分子での被覆は、ポリチオフェン層の作動中の脱離を防ぎ、水の接触また酸素気泡の脱離を容易とした。 (2) 電子受容性分子はP3HTに部分的に電荷移動錯体を形成してドープされ、高い光吸収能と併せHOMO準位(-4.70eV)がアルカリ下での水酸化電位より深くなった。各種基板上にこれらP3HT薄層を形成し、可視光照射下での活性測定に着手した。 (3) 共役レドックス高分子の酸化還元電位、双安定性、電荷分離、また水界面での電子授受につき、研究代表者のそれらも含む既報論文200報余りを精査しながら、分子構造、ホール輸送能、光励起特性と関連付けて普遍的に議論し、資源・毒性・安全性に制約ある金属触媒に対し、フィルム形成や耐久性など、水から水素・酸素・過酸化水素を生成する光・電気化学触媒としての有機高分子の利点と可能性を描像した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的・計画に沿って実験が実施でき、新しい知見が得られている。水の分解・酸素発生の実験では、有機高分子の薄層を酸化的かつ光照射下の過酷な条件に置かれるため、今後有機薄層としての安定性に配慮した計画に変更する。共役高分子の湿式レドックス触媒能の描像は、既報論文の取り込み整理で進んでおり、最終年令5年度に取りまとめられる。
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今後の研究の推進方策 |
令4年度の成果をもとに最終年度として以下を実施する。 (1) ドープによりホール生成させたポリチオフェン誘導体の薄層の光励起に係わるHOMO、LUMO準位を水酸化電位に適するように調整する。一連の対イオン、アクセプター分子のドーピングで、より深いHOMO準位やドープ率・位置を光電子分光など各種分析から明らかにする。光照射下での光酸化反応の開始印加電圧、電流値、Faraday効率を計測し、高分子薄層の機能として評価する。被覆する基板の選択には、高分子層からの電子抽出を期待して特に留意して検討する。ホールの生成能と酸化力、親水多孔表面などにも関連付けて議論する。 (2) 共役高分子薄層の水酸化還元活性パラメータを、共役系の電子状態、薄層構造、化学的耐久性などと関連づけて整理する。あわせ光電変換デバイスでのポリチオフェン誘導体の役割にも波及させる。共役高分子の光電気化学、電荷分離、また水界面での電子授受につき、既研究も対比しながら普遍的に整理し、資源・毒性・安全性に制約ある金属触媒に対して、フィルム形成や耐久性などとあわせ、ポリチオフェンを例にホール輸送高分子の水レドックス能を俯瞰的に描画する。
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