研究課題/領域番号 |
21H02033
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
桑田 直明 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究センター, 主幹研究員 (00396459)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 固体電池 / オペランド測定 / 二次イオン質量分析 / 拡散係数 / イオン伝導 / トレーサー拡散係数 / 粒界拡散 / TOF-SIMS / リチウムイオン伝導体 / その場測定 / 全固体電池 / 正極材料 / 単結晶 / 物理化学 / 電気化学 / イオニクス |
研究開始時の研究の概要 |
リチウムイオン電池の電解液を固体に置き換えた、全固体電池は次世代の充放電可能な電池として、高出力と安全性から期待されている。固体中のリチウムイオンの拡散を可視化するとはこれまで困難であった。申請者らはリチウムの同位体を拡散させて、その広がりを二次イオン質量分析(SIMS)測定により可視化する手法を開発してきた。本研究では、SIMS測定を全固体電池の充放電過程の観察に応用する。それにより、全固体電池の高性能化のために必要不可欠な界面でのイオンの移動を可視化して、拡散機構の解明および、全固体電池の高性能化に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究では、二次イオン質量分析(SIMS)法を利用したリチウム拡散解析法を開発し、全固体電池解析に応用することを目的としている。さらに、オペランド測定への展開を目指す。本年度は、酸化物型全固体電池のバルク・界面におけるイオンダイナミクスを解明するため、高いリチウムイオン伝導性を持つLi0.29La0.57TiO3(LLTO)をモデル材料とし,バルク内と粒界のLi拡散を6Li同位体トレーサー実験により解析した。同位体分布の観測にはTOF-SIMS装置(ION-TOF,TOF-SIMS5)を使用した。 室温で6Li同位体交換を行ったLLTOでは、6Li同位体の濃度比が空間的に変化している様子が捉えられた。時間経過により分布は変化し、拡散シミュレーションの結果からリチウムイオンのトレーサー拡散係数を見積もることができた。この値はバルクと粒界の効果が含まれる、有効拡散係数とみなすことができる。 粒界部分では6Li同位体濃度が大きく変化していることが観察された。この結果を解析することにより、粒界拡散係数を求めることができた。この手法は固体リチウム電池材料の界面イオンダイナミクスを捉える直接的な技術として応用できる。 さらに、TOF-SIMSを活用した全固体電池のオペランド測定技術の開発を行った。試料は全固体電池のモデル電池を使用した。TOF-SIMS装置に充放電装置を導入し、オペランド測定を実施した。充電により正極部では7Li強度が減少し、負極部では増加した。本測定により、オペランドSIMSで充放電による活物質のLi濃度の変化の兆候を捉えられることが示された。今後活物質粒子ごとの充放電への寄与率の判定などに応用することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績概要に書いた通り、実施計画書に沿って順調に進捗しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに確立したオペランドSIMS測定法を、種々の全固体電池系に応用し、解析の高度化を行う。充放電曲線とSIMSのイオン強度の変化を関連付け、多変量解析を用いたスペクトル解析の高度化を行う。このことにより、充放電サイクルによるリチウムイオンの移動、活物質の電子状態変化、界面での反応相の検出が可能かどうかの検討を行う。
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