研究課題/領域番号 |
21H02035
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
青木 芳尚 北海道大学, 工学研究院, 教授 (50360475)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | プロトン伝導体 / プロトン / 燃料電池 / 駆動用燃料電池 / プロトン固体酸化物セル / 水素透過 / プロトンポンピング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の大きな目的は,プロトン伝導性セラミックス電解質膜と水素透過合金箔アノード のヘテロ接合を特徴とする水素膜燃料電池(HMFC)において、O2-副イオン伝導のブロッキン グによって発現する「プロトンポンピング効果」を活用し,セラミック燃料電池の作動温度 を400°C以下まで低温化するための材料技術基盤を生み出すことである.本研究では高酸素欠損電解質膜を用いたHMFCを作製し,より顕著なプロトンポンピングを発現させ,電解質抵抗とカソード分極抵抗の大幅な低減を図る.これらの検討を通じ,HMFCの 作動温度をV-Ni合金水素透過合金が使用できる400°C以下まで低減させる.
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研究実績の概要 |
水素透過膜支持型燃料電池(HMFC)は水透過合金/電解質膜-ヘテロ界面での酸化物イオンブロッキングにより発現するプロトンポンピング効果を発現し、高い出力を生むことが知られている。水素透過膜支持型燃料電池(HMFC)における、プロトンポンピング効果の最大化を目標に以下の検討を行った。第一に電解質酸化物の酸素欠損量がプロトンポンピングに及ぼす影響を実証するために,高酸素欠損量をもつBaCexZr0.5-xSc0.5O2.75(x = 0 and 0.2)を電解質としたHMFCについて実験による解析を行った。一般的にCe置換を行うと伝導率が上がり、セル出力は増加することが知られている。しかしながら、HMFCの出力はプロトンポンピング効果によって支配されるため,Ceドープによる出力増加は起こらないことが分かった。 第二に、hMFCの実用化に向けた最大の課題であるPd水素アノードの代替材料について検討を行った。その有力な候補であるV1-xNix合金をPd代替アノードとして検討を行った。その結果、いずれの合金においても、金属酸化物電解質薄膜を300℃以下で製膜し、また320℃以下で発電したとき、高い出力が得られることが分かった。これらの条件以上に温度を上げると、合金の酸化による出力劣化が顕著に起こるとわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の大きな目標の一つである、Pd代替アノード材料が未だ開拓できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度までに、第一の目標である、「プロトンポンピングの最大化を志向した電解質材料開発」に関する目標はほぼ達成されたが、第二の目標である「Pd代替水素透過合金アノードを使用したHMFCの構築」に関し未達である。HMFCの社会実装の困難さは、水素透過合金に貴金属Pdを必要とする点にある。これに対し2022年度までに、VNi合金を水素透過アノードに用いた非Pd系HMFCを検討したが、Pd剛毅なノードに比べ、セルが著しく不安定となり、さらなる検討は難しい。 そこで2023年度からセラミックス水素透過アノードを用いたHMFCを検討する。我々はこれまでに、BaZr0.5In0.5O2.25H0.5等の酸水素化物がヒドリドイオン/電子―混合伝導により、従来のプロトン伝導性セラミックスよりも高い水素透過度を持つことを見出した。この材料は水素雰囲気であれば800℃まで安定であり、燃料電池アノード環境では極めて安定と考えられる。2023年以降はこの寺領をPd代替アノードとして検討していく。
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