研究課題/領域番号 |
21H02055
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹澤 悠典 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (70508598)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | DNA / 超分子化学 / 核酸化学 / 金属錯体 / 分子機械 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、配列設計によりプログラムできるDNAのナノスケール自己組織化と、超分子金属錯体の動的化学の双方に立脚し、金属配位を駆動力として構造・機能のスイッチングが可能なDNA分子機械素子を創製する。金属配位性修飾ピリミジン塩基や金属配位子修飾DNA三叉路分岐構造を用い、金属錯体形成によるDNA鎖交換反応やDNA自己集合の制御を行う。金属配位や外部刺激に応答するDNAアプタマー・DNA触媒や、可逆な構造・機能変換が可能なDNA分子マシンを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では、配列設計によりプログラムできるDNAのナノスケール自己組織化と、超分子金属錯体の動的化学の双方に立脚し、金属錯体形成を駆動力として構造・機能のスイッチングが可能なDNA分子機械素子の創製を目的とした。昨年度に引き続き、(1) 金属錯体形成によりペアを作る新規人工核酸塩基の開発、および (2) 金属錯体形成により構造変換可能なDNA三叉路分岐モチーフの開発 を遂行し、さらに (3) 金属配位性修飾ピリミジン塩基を用いた金属イオン応答性DNA超分子の構築を検討した。 (1) 金属錯体形成によりペアを作る新規人工核酸塩基の開発:金属配位子型人工塩基として、クリック反応により簡便に合成できる4-カルボキシトリアゾール(TazC)を新たに開発した。一対のTazC-TazC塩基対を導入したDNA二重鎖を合成し、融解実験および質量分析により金属錯体型塩基対の形成を評価した。その結果、DNA二重鎖中で安定なTazC-Cu(II)-TazC塩基対を形成することを明らかにした。 (2) 金属錯体形成により構造変換可能なDNA三叉路分岐モチーフの開発:フェナントロリン(phen)配位子を導入したDNA鎖を用いてDNA三叉路分岐構造を構築し、phen配位子とNi(II)イオンとの3:1金属錯体形成を駆動力とした「DNA二重鎖⇔三叉路分岐構造」の可逆な相互変換を実現した。 (3) 金属配位性修飾ピリミジン塩基を用いた金属イオン応答性DNA超分子の構築:昨年度に引き続き、5-ヒドロキシウラシル(UOH)塩基を導入したDNA分子ピンセット構造を構築し、Gd(III)イオンの添加・除去による開閉制御を検討した。Mg(II)イオン濃度などのバッファー条件の最適化により、分子ピンセットの開閉の繰り返し制御に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、金属錯体形成を駆動力として構造・機能のスイッチングが可能なDNA分子機械素子の創製を目的としている。本年度は主に、(1) Cu(II)イオンを介して金属錯体型塩基対を形成する4-カルボキシテトラゾール型ヌクレオシドの開発、(2) フェナントロリン修飾DNA鎖を用いた金属イオン応答性DNA三叉路分岐構造の構築、および (3) 5-ヒドロキシウラシル塩基の金属錯体形成に基づくDNA分子ピンセットの開閉の繰り返し制御 を行った。当初計画していた金属錯体形成をトリガーとしたDNAナノ構造体(DNA多面体構造等)の構造変換には課題が残るものの、DNA分子機械のプロトタイプも言えるDNA分子ピンセットの開閉制御やDNA分岐構造の構造変換には成功しており、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は主に、(1) クリック反応により簡便に合成できる金属配位子型人工ヌクレオシドの開発、(2) フェナントロリン配位子の金属錯体形成に基づくDNA三叉路分岐構造の構造変換、および (3) 5-ヒドロキシウラシル塩基とGd(III)イオンとの錯体形成に基づくDNA分子ピンセット構造の開閉制御 を遂行した。今後は、これらの金属イオン応答性DNA超分子の高機能化を進めるとともに、金属錯体形成を駆動力としたDNAナノ構造体の構造変換へと展開し、金属イオンに応答するDNA分子機械への応用を目指す。さらに、機能性核酸の活性制御や、RNA合成等の酵素反応の制御も検討し、本研究で開発した金属イオン応答性DNA分子機械素子の汎用性を実証する。
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