研究課題/領域番号 |
21H02071
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
澤 智裕 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30284756)
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研究分担者 |
津々木 博康 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 講師 (40586608)
小野 勝彦 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (80573592)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | インフラマソーム / 活性イオウ / システインパースルフィド / 炎症 / イオウ代謝 / NLRP3インフラマソーム / 超硫黄分子 / レドックス / 自然炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
インフラマソームは体内に侵入した病原体や異物、非特異的な組織損傷を感知し、それらを炎症応答を介して排除するための重要な適応応答を担っている。インフラマソームの内因性抑制因子は、過剰な炎症を抑え、また炎症の収束に必要である。本研究では、新規な内因性抑制因子として本応募者らが予備検討から同定した活性イオウについて、インフラマソーム活性化に対する抑制作用の分子メカニズムを明らかにすることを目的としている。本研究の成果は、インフラマソームの制御破綻が関わる自己炎症性疾患に対して、活性イオウを基軸とした新しい診断・予防・治療法の開発に向けた基盤技術の構築に資するものと期待される。
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研究実績の概要 |
インフラマソームは、感染や組織損傷、環境異物への暴露などにより活性化されるタンパク質複合体で、インターロイキン(IL)-1βやIL-18などの炎症性サイトカイン生成をもたらす重要な自然炎症応答を担っている。我々は内因性のインフラマソーム活性化因子であるアデノシン3リン酸(ATP)による刺激が、抗酸化ペプチドであるグルタチオン(GSH)とその超硫黄体であるグルタチオンポリスルフィドが細胞外へ放出され、それがNLRP3インフラマソームの活性化を促していることを報告した。本研究では、ATP刺激や他のさまざまな活性化刺激に対して、細胞内の超硫黄分子がどのように制御機構に関わっているのかその分子機能の解明を目指している。本年度は、インフラマソーム活性化プロセスにおいて、NLRP3タンパク質のポリ硫黄化について検討した。NLRP3タンパク質が細胞内でポリ硫黄化修飾されていることを、特異的なビオチン化法によって明らかにした。またATP刺激によりそのポリ硫黄化が減少することがわかった。ATP刺激時に超硫黄ドナーを共存させるとNLRP3のポリ硫黄化が維持されることがわかった。これらの結果は、NLRP3タンパク質のポリ硫黄化の状態が、インフラマソーム複合体形成の調節に関わっていることを示唆している。現在、ポリ硫黄化の標的となるシステイン残基の同定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NLPR3インフラマソームの活性化プロセスが、NLRP3タンパク質そのもののポリ硫黄化修飾によって制御されていることを見出した。このような知見はこれまでに報告されておらず、新規な抑制機序の可能性が示唆されたため。
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今後の研究の推進方策 |
NLRP3タンパク質のポリ硫黄化がどのシステイン残基に起こっているのか、またそれがどのようにしてインフラマソーム複合体形成に関わっているのかを、明らかにする。
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