研究課題/領域番号 |
21H02092
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
伊藤 英臣 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (70748425)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 土壌 / 微生物 / 農業害虫 / 害虫防除 / 共生 / 昆虫 / 腸内細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
土壌が環境保全性や植物の成育にもたらす影響力は古くから見出されてきたにも関わらず、動物の成長や分布に与える直接的な影響力はほとんど分かっていない。本研究では、農業害虫が土壌から特定の腸内細菌を獲得できないと矮小化したり繁殖力が著しく低下する現象に着目し、どのような土壌環境条件が農業害虫が有益な腸内細菌を獲得する成否を決めているのか調査する。そして、その土壌環境条件を改変することによりその成否を制御する技術の開発に取り組む。
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研究成果の概要 |
農業害虫カメムシが土壌から特定の共生細菌を獲得して強靭化する現象に着目して、この共生系成立がどのような土壌環境要因で規定されるのか明らかにした。まず、カメムシが共生細菌を獲得できる土壌とできない土壌の理化学性と共生細菌の密度を比較解析して、共生細菌の密度に影響を与える土壌環境因子を明らかにした。さらに、その土壌環境因子を改変することにより、カメムシが土壌から共生細菌を獲得することを阻害できることを見出した。これらのことから、土壌が昆虫の分布を規定する直接的な要因になり得ることを示唆されたとともに、従来体系とは全く異なる新たな害虫防除技術の基盤情報が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
動物の分布に及ぼす土壌の影響は主に植物が介在した間接的なものとして考えられてきたが、本研究から土壌が昆虫の分布を直接的に規定することが初めて明らかとなった。また、昆虫の分布は気候条件や餌や捕食者相で規定されると考えられてきたが、昆虫生態における土壌の重要性を発見した。これらのことは土壌学および昆虫学の盲点であり、どちらの学問においても新しい学術領域を切り拓く意義を有する。また、害虫自身ではなく、害虫の生存や繁殖に重要な土壌微生物を制御するという新たな害虫防除技術コンセプトが得られ、殺虫剤の使用量を削減して環境保全性と農作物の持続的安定生産の両立に貢献できる可能性が見出された。
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