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細胞膜と細胞外構造体の協調的相互作用によるTORC2シグナルの活性制御モデル

研究課題

研究課題/領域番号 21H02103
研究種目

基盤研究(B)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 小区分38020:応用微生物学関連
研究機関京都大学

研究代表者

井上 善晴  京都大学, 農学研究科, 教授 (70203263)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
キーワード酵母 / TORC2 / CWI経路 / Eisosome / 含硫アミノ酸 / Pkc1 / Plc1 / メチルグリオキサール / シグナル伝達 / 細胞膜脂質ドメイン
研究開始時の研究の概要

本研究では、TORC2(Target of Rapamycin Complex 2)シグナルの活性化における細胞膜脂質ドメインと細胞外マトリックスとの関連性について、酵母と培養細胞を用いて明らかにする。酵母を用いる検討では、細胞壁の健全性に関与するCWI(Cell Wall Integrity)経路とTORC2シグナルの協調的制御メカニズムの解明、ならびに細胞分裂過程におけるCWI経路とTORC2シグナルの協調性の作用点の解析を行う。また、酵母を用いて得られた結果の生物種を超えた普遍性を検討するため、培養細胞を用いてインテグリンとTORC2シグナルの関連性を検討する。

研究実績の概要

これまでの研究から、Cell Wall Integrity(CWI)経路の活性化はTORC2-Ypk1/2シグナルの活性化に対して抑制的に作用していること、すなわち、オーレオバシジンA(AbA)によるTORC2-Ypk1/2シグナルの活性化は、CWI経路を介して活性化されたPkc1により抑制され得ることを明らかにしてきた。そこで本年度は、TORC2シグナルによるPkc1の活性化について検討を行った。今回、tor2-ts温度感受性変異株の温度感受性をマルチコピーで抑圧することが知られているPlc1に着目して検討を行った。Plc1の欠損株はTORC2-Pkc1シグナルを活性化させるメチルグリオキサール(MG)やTORC2-Ypk1/2シグナルを活性化させるAbAに対して感受性を示した。また、plc1欠損株ではMGやAbA処理によるTORC2-Pkc1ならびにTORC2-Ypk1/2シグナルの活性化も起こらなかった。しかしながら、ホスホリパーゼ活性のないPlc1-H393A/N394A変異体では、AbAによるTORC2-Ypk1/2シグナルの活性化は起こったが、MGによるTORC2-Pkc1シグナルの活性化は起こらなかった。そこで、Pkc1のTORC2によるリン酸化部位であるS1143のリン酸化を検討したところ、plc1欠損株ではMG処理によるPkc1-S1143のリン酸化が起こらなかった。Pkc1の下流にはMpk1 MAPキナーゼ経路が存在する。MG処理によりTORC2-Pkc1経路を介してMpk1のリン酸化が起こるが、plc1欠損株ではMGによるMpk1のリン酸化が起こらなかったのに対し、熱ショックによるCWI経路を介したMpk1のリン酸化は野生株と同様に起こった。Plc1がPkc1の局在に及ぼす影響を検討した結果、plc1欠損株やPlc1-H393A/N394A変異体では芽の先端に局在するPkc1の割合が顕著に低下していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

tor2-ts温度感受性変異のマルチコピーサプレッサーとしてPLC1が取得された原因として、Plc1がTORC2-Pkc1やTORC2-Ypk1/2シグナルの活性化に関与すること、ならびにPlc1がPkc1のbud tipへの局在に関与するためであることを明らかにすることができた。このことは、TORC2シグナルの制御機構の解明において大きく貢献するものである。しかしながら、CWI経路を介して活性化されたPkc1が、どのようにしてAbAにより活性化されたTORC2-Ypk1/2シグナルに対して抑制的に働いているかを解明するには至らなかった。

今後の研究の推進方策

TORC2-Ypk1/2シグナルの活性化においては、細胞膜の構造体であるeisosomeからSlm1/2が遊離し、TORC2が存在するMCT画分へと移動するモデルが提唱されている。そこで、エデルフォシンによるTORC2-Ypk1/2シグナルの阻害機構について、エデルフォシンがeisosomeの構造や形成に及ぼす影響について検討を進める。

報告書

(2件)
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Roles of phosphatidylserine and phospholipase C in the activation of TOR complex 2 signaling in <i>Saccharomyces cerevisiae</i>2022

    • 著者名/発表者名
      Nomura Wataru、Ng Su-Ping、Takahara Terunao、Maeda Tatsuya、Kawada Teruo、Goto Tsuyoshi、Inoue Yoshiharu
    • 雑誌名

      Journal of Cell Science

      巻: 135 号: 17

    • DOI

      10.1242/jcs.259988

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Methylglyoxal induces multiple serine phosphorylation in insulin receptor substrate 1 via the TAK1-p38-mTORC1 signaling axis in adipocytes2022

    • 著者名/発表者名
      Ng Su-Ping、Nomura Wataru、Takahashi Haruya、Inoue Kazuo、Kawada Teruo、Goto Tsuyoshi、Inoue Yoshiharu
    • 雑誌名

      Biochemical Journal

      巻: 479 号: 21 ページ: 2279-2296

    • DOI

      10.1042/bcj20220271

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] ε-ポリ-L-リジンによる酵母Mpk1 MAPキナーゼの活性化と抗真菌活性の相関性2022

    • 著者名/発表者名
      栗原優紀、福井健人、池田佳代、野村 亘、竹原宗範、井上善晴
    • 学会等名
      日本生物工学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Saccharomyces cerevisiaeのプロテインキナーゼCにおけるHR1領域の機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      井澗和也、野村 亘、井上善晴
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 出芽酵母CWI経路はeisosome依存的にTOR複合体2シグナルを負に制御する2022

    • 著者名/発表者名
      野村 亘、井上善晴
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Saccharomyces cerevisiaeにおけるピルビン酸デカルボキシラーゼI欠損は2-デオキシグルコース感受性を高める2022

    • 著者名/発表者名
      宇田竜成、向山佳歩、野村 亘、井上善晴
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2022年度大会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] 出芽酵母ピルビン酸デカルボキシラーゼIの機能と細胞内局在性の関連2021

    • 著者名/発表者名
      宇田竜成、向山佳歩、野村 亘、井上善晴
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム 第54回研究報告会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2023-12-25  

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