研究課題/領域番号 |
21H02151
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
原田 昌彦 東北大学, 農学研究科, 教授 (70218642)
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研究分担者 |
堀籠 智洋 東北大学, 農学研究科, 助教 (10771206)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 細胞核 / 核内アクチン / クロマチン / テラヘルツ光 / ゲノム機能 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞核にもアクチンとアクチンファミリーが存在し、クロマチンの核内配置や移動を司ることで遺伝子発現・DNA損傷修復などのゲノム機能を制御している。我々は、その分子機構の解明を進めると共に、細胞核内のアクチン繊維を人為操作する手法の開発を進めている。たとえば、合成二重環状ペプチドやテラヘルツ(THz)光照射の利用可能性を報告している。本研究では、ゲノム機能制御における核内アクチン繊維とクロマチンの相互作用メカニズムを明らかにすると共に、合成二重環状ペプチドやTHz光を核内アクチン繊維に作用させることで、ゲノム機能制御を人為操作する技術基盤を確立し、農学・医学分野への応用展開を図る。
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研究実績の概要 |
生命活動に必須なゲノム機能の制御の構造基盤として、細胞核内のクロマチン構造や核内配置が知られている。アクチンとアクチン関連タンパク質によって構成されるアクチンファミリーについては、以前は細胞質での機能を中心に解析が行われていたが、細胞核での機能解析は遅れていた。我々は、アクチンファミリーが、細胞核内でクロマチン構造変化や核内配置において重要な役割を果たしていることを見出してきた。さらに我々は、遺伝子発現やDNA損傷修復に核内アクチンが関与していることを示している。本研究では、遺伝子発現制御とDNA損傷修復における、核内アクチン繊維とクロマチンの相互作用メカニズムを明らかにし、合成二重環状ペプチドやテラヘルツ光を核内アクチン繊維に作用させることで、ゲノム機能制御の人為操作技術の基盤を確立することを目的としている。これまでの出芽酵母や培養細胞を用いた解析によって、ヒストンバリアントH2A.Zが導入されているゲノム領域と、核内アクチンのクロマチン結合領域での重複が観察されていた。さらに、培養細胞にテラヘルツ光を照射することで、細胞質のアクチン繊維形成が促進されること、また細胞周期の細胞質分裂の際に、アクチン収縮管の脱重合が抑制されて細胞質分裂が抑制されることなどが示されていたが、培養細胞に抗がん剤などを作用させてDNA二重鎖切断を誘導させた状態でテラヘルツ光を細胞に照射することによってDNA損傷修復を促進させる効果があること、アクチン重合促進薬剤でも同じ効果が観察されることも示された。これらの観察結果は、核内でゲノム機能に重要や役割を占める核内アクチン繊維をテラヘルツ光により人為制御できる可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでにも、細胞周期の細胞質分裂の際に、アクチン収縮管の脱重合が抑制されて細胞質分裂が抑制されることなどが示されていたが、培養細胞に抗がん剤などを作用させてDNA二重鎖切断を誘導させた状態でテラヘルツ光を細胞に照射することによってDNA損傷修復を促進させる効果があること、アクチン重合促進薬剤でも同じ効果が観察されることが示されるなど、新たな知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにもゲノム機能制御におけるアクチンの重要性を示しているが、テラヘルツ光による核内アクチンの人為制御可能性を示すことができたため、このような現象をさらに詳細に解析する。さらに、このような現象の分子メカニズムについても解析を進める。
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