研究課題/領域番号 |
21H02167
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 克周 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 特任教授 (50221320)
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研究分担者 |
力石 和英 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (90220798)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | アグロバクテリウム / 植物形質転換 / Riプラスミド / 植物ホルモン / アグロバクテリア / DNA輸送 / 病原性プラスミド / 内生細菌 / ムギ |
研究開始時の研究の概要 |
主要穀物種は単子葉植物であり、病原性アグロバクテリア(Agrobacterium tumefaciens)による感染を受けず、ムギ類に代表されるようにアグロバクテリアを用いる形質転換が難しい。本研究は植物の形質転換問題、殊にムギ類の形質転換を改善することを目標としている。先ず、申請者らがコムギから単離したアグロバクテリア内生菌株を植物形質転換に汎用的に利用できるドナー株に改変加工を行う。次いで、ムギ胚性カルスの形質転換へ適用する試験を行い、どのような特性を持つか明らかにする。世界で初めて有用株化した内生細菌株を公開し、広く他の生物種の形質転換に活用できるように整備することも本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
主要穀物植物は単子葉植物であり、病原性アグロバクテリア(Agrobacterium tumefaciens)による感染を受けず、ムギ類に代表されるようにアグロバクテリアを用いる形質転換が難しい。本研究は植物の形質転換問題を改善することを目標としている。先ず、申請者らがコムギから単離したアグロバクテリア内生菌株を植物形質転換に汎用的に利用できるドナー株に改変加工を行う。次いで、胚性カルスの形質転換へ適用する評価試験を行ってどのような特性を持つか明らかにすることで、世界で初めて有用株化した内生細菌株を公開し、広く形質転換に活用できるように整備することが本研究の目的である。 既に申請者らがコムギから単離したアグロバクテリア(A. tumefaciens)内生菌株には、Riプラスミドを持つG7グループ菌株とTiプラスミド/Riプラスミドどちらをも持たないG1グループ菌株の計2系統がある。2021年度の実施計画は主に、それぞれの内生菌株でT-DNA輸送能力を持つが病気を生じさせない(アームレス化)ドナー菌株を作成することと、来年度本格実施する植物形質転換の準備を行うという内容である。 G1グループ内生菌株へアームレスRiプラスミド導入した菌株を作成した。G7グループ内生菌株については、Riプラスミド除去を行ったうえでアームレスRiプラスミド導入した菌株を作成した。一方、既存のTiプラスミド導入体を得ることができなかった。G7グループ内生菌株RN3の塩基配列決定によって、野生型RiプラスミドpRiRN3は長さ234,326 bpであり、1つのT-DNAを持っていることが判った。この配列情報に基づいて、T-DNA部分のみを除去するための加工用プラスミドを設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
G1グループおよびG7グループ内生菌株に対して、既存のアームレスTiプラスミドとRiプラスミドの導入を行い、アームレスRiプラスミド導入体を得ることができた。しかし、両グループ内生菌株共にアームレスTiプラスミド導入体を得ることができなかった。Riプラスミドを持つG7グループ内生菌株RN3の塩基配列決定によって、野生型RiプラスミドpRiRN3の全塩基配列234,326 bpが明らかになり、1つのT-DNAを持っていることが判った。この配列情報に基づいて、T-DNA部分のみを除去するための加工用プラスミドを設計できた。 従って、全体としてはおおむね順調と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
アームレスTiプラスミドとRiプラスミドを導入したG7グループおよびG7グループ内生菌株を使用して植物形質転換を行う。内生菌株がアームレスRiプラスミドを受容したのに、アームレスTiプラスミドを受け付けなかった原因として、内生菌株に制限修飾系などのバリアーが在り、アームレスRiプラスミドは自身を保護する遺伝子を持ち、アームレスTiプラスミドには無いと予測される。両プラスミドの再アノテーションおよび他のプラスミドを導入する実験によって原因を把握して解決を目指す。 G7グループ内生菌株のRiプラスミドについてはT-DNAを除去するための加工用プラスミドを使用してアームレス化する。このアームレス化したRiプラスミドも植物形質転換に使用し評価する。
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