研究課題/領域番号 |
21H02182
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
近藤 悟 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 特任研究員 (70264918)
|
研究分担者 |
池浦 博美 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 准教授 (10440158)
齋藤 隆徳 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 助教 (20753479)
森口 卓哉 静岡県立農林環境専門職大学, 生産環境経営学部, 教授 (80343945)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
|
キーワード | ABAシグナル伝達 / 光応答 / アントシアニン / 糖 / ブドウ / 青色光 / アントシアニン合成 / 糖代謝 / アブシシン酸 / ABA代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
果実におけるABA代謝、ABAシグナル伝達、光波長・光応答のアントシアニン、糖および香気成分産生ならびに果実への光合成産物転流について、これらの相対的な関与深度および本質性の解明を行う。 環境からのストレスおよびABAに関連するDNAのメチル化の着色および糖合成に及ぼす機構を詳細に解明する。葉の内生ABA代謝およびABAシグナル伝達の影響を解明する。本研究では内生ABA代謝、ABAシグナル伝達および光応答のクロストークを解明し、各々が必要とされる時期に最大効果が発揮されるよう制御し、色・糖・香りを大きく向上させて市場価値を高め、社会的にインパクトを与えるブドウの生産技術を開発する。
|
研究実績の概要 |
非クライマクテリック型果実であるブドウでは、アブシシン酸(ABA)の蓄積は、果実の成熟開始に関する重要なシグナルとなる。本研究ではブドウ’巨峰’を供試して、ABA合成の鍵酵素であるネオキサンチン酸化開裂酵素(NCED)の働きを阻害するノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)を果実の成熟開始期であるベレゾーン期直前に葉に処理し、処理後15日および30日に葉から果房へのABAシグナル伝達がアントシアニンおよび糖合成に及ぼす影響を検討した。 葉へのNDGA処理は、処理後15日および30日に、有意に果房のABA濃度を減少させた。さらに果房のアントシアニン合成、スクロースの蓄積、およびこれらの合成に関与する遺伝子発現(VvABF2, VvMYBA2, VlDFR, VlF3H, VvSUS4, VvSUT4, VvAIG1)を抑制した。特に処理後15日には、全ての項目で有意な減少を示した。RNAシーケンス分析は、NDGA処理が細胞のアルコールジヒドロゲナーゼ活性に影響する果肉の酸素レベルに関連する遺伝子に影響することを示した。そのため、ヘキサナールおよびフェニルエチルアルコールのようなアルコール由来の香気成分濃度を測定した。その結果、葉へのNDGA処理は果皮および果肉の成熟を抑制することが明らかとなった。これらの結果は葉から果房へのABAシグナル伝達の重要性を示唆するものである。 葉へのNDGA処理が果房のアントシアニン合成、糖合成およびこれらの関連遺伝子に及ぼす影響を報告したのは本研究が最初である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の一つの小課題において、アブシシン酸(ABA)代謝、ABAシグナル伝達がアントシアニン合成および糖合成に及ぼす影響を明らかにすることを試みた、その結果、葉へのABA合成阻害剤(NDGA)処理が果房のアントシアニンおよび糖合成を阻害することが明らかとなった。この結果は、葉からのABAシグナル伝達が果房の着色および糖合成に大きな影響を持つことを示すものである。
|
今後の研究の推進方策 |
アブシシン酸(ABA)代謝、ABAシグナル伝達、光波長および光応答がアントシアニン合成、糖合成および光合成産物転流に及ぼす影響を明らかにする。またこれら要因のクロストークを解明する。
|