研究課題/領域番号 |
21H02213
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
宮崎 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (80712489)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 社会性昆虫 / 腸内細菌 / ミツバチ / 腸内細菌叢 / 社会行動 |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌叢は宿主動物の様々な生理機能や行動に関与することが知られている。しかしその複雑性と多様性が原因で、腸内細菌叢に関する知見はオミクス解析に依存しているのが現状であり、昆虫との共生においても、全腸内細菌の機能や宿主との関連性を実験的に検証することは極めて困難である。本研究では、優れた生物学的利点を有するミツバチを実験モデルとし、腸内細菌叢の再構築および宿主・細菌双方の分子生物学的操作によって、個々の腸内細菌がミツバチの生理機能や社会行動に与える影響とその分子基盤を統合的に解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、優れた生物学的利点を有するミツバチを実験モデルとし、腸内細菌叢の再構築および宿主・細菌双方の分子生物学的操作によって、個々の腸内細菌がミツバチの生理機能や社会行動に与える影響とその分子基盤を解明することである。本年度は、前年度から継続して腸内細菌叢を再構築したミツバチの表現型および行動解析を進めた。特に、ミツバチの餌 (ショ糖) への応答性については、2-5時間の飢餓状態では、腸内細菌の有無によって餌への応答性や感受性が変化しないことを明らかにし、論文を発表した。また、無菌ミツバチと、ある特定の腸内細菌を有するとミツバチの個体寿命を比較したところ、後者の方が短いことを見出し、共生関係にある腸内細菌であっても、宿主の寿命という点ではコストになりうることを明らかにした。この寿命短縮のメカニズムを明らかにするために、各サンプルからRNAを抽出し特定の腸内細菌の保有によって変動する宿主遺伝子をRNA-seqで解析しているところである。さらに、ミツバチのみならずアリやシロアリ等様々な真社会性昆虫の腸内細菌叢の構造について、最新の知見を含めた総説論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、味覚応答と腸内細菌叢の関連性について論文を発表し、さらに新社会性昆虫の腸内細菌叢の構造について最新の総説論文を発表したことから、業績面でも順調に研究を推進できている。また、RNA-seqにより宿主の寿命変化に連関する遺伝子の探索を進めており、次年度につながる成果も得ている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きRNA-seq解析を進め、宿主の寿命変化に連関する遺伝子をスクリーニングする。いくつかの候補遺伝子をRNAi法によりノックダウンし、腸内細菌存在下でも寿命が無菌ミツバチと同等レベルに達するかどうかを実験的に検証する。これらの結果をまとめ上げ、国際学会および論文で発表する。
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