研究課題/領域番号 |
21H02219
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
馬場 友希 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (70629055)
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研究分担者 |
伊藤 健二 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (10370511)
片山 直樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主任研究員 (10631054)
山本 哲史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 研究員 (10643257)
山迫 淳介 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 植物防疫研究部門, 主任研究員 (20748959)
大久保 悟 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, グループ長補佐 (30334329)
池田 浩明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 再雇用職員 (50343827)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 環境DNA / 生物多様性 / 水田 / 生物指標 / 生態系サービス / 採水方法 / 魚類 / 鳥類 / クモの網 / 水田生態系 / 指標 / メタバーコーディング / 採水 / MiFish / MiBird |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、環境中に存在するDNAを調べることで生物の分布情報が得られる「環境DNA分析技術」を用いて、水田の生物多様性の評価を試みる。得られた生物データと農業環境データを統合することで、生物多様性の変動をもたらす環境要因を明らかにし、さらに生物多様性と農作物データ(虫害・病害の発生や収量等)との関係を解析することにより、生物多様性に由来する生態系サービスを評価する。 また本研究では研究例の少ない陸域からの環境DNAの検出も試みるため、サンプリング手法など基盤技術の確立に重点を置くと共に、生物種の同定に不可欠な参照DNA配列データの整備・拡充も並行して行う。
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研究実績の概要 |
今年度の主な目標は①サンプリング・検出技術の確立および②DNAデータの取得・解析である。①に関しては「一つの水田から何か所で採水すればほ場全体の生物多様性を把握できるか?」「水路からの環境DNAの流入がどの程度、ほ場内の生物多様性評価に影響を及ぼすか?」を明らかにするため、水田における最適なサンプリング戦略の検討を行った。栃木県上三川町において同一水路を共有する有機および慣行水田において、圃場ごとに水の流入部、流出部周辺を含む8箇所から採水を行った。魚類(MiFish-U)、鳥類(MiBird)、節足動物(fwhF2/EPTDn2r)を対象としたメタバーコーディング解析の結果、水田や畦を利用する種が検出され、妥当性のある結果が得られた。検出種数は8回採水で平均6種(魚類)、6.5種(鳥類)、52種(節足動物)であった。魚類ではおよそ4回、鳥類では7回の採水で検出種数が飽和したが、節足動物では検出種数は飽和しなかった。また流入部付近の検出種数は比較的多く水路由来のDNAを検出している可能性が示唆された。8回の採水を少量ずつ混合したサンプルの検出種数は2、3回分の採水サンプルと同等であり、採水地点ごとの採水量が小さいために検出種数が少なかった可能性がある。以上の結果から、対象とする分類群によって必要な採水回数が異なること、水路からの環境DNAの影響を避けるためにはできるだけ流出部周辺で採水を行うのが望ましいことが示された。 ②のDNAデータの取得に関しては、昨年同様、上三川町から定期的に有機水田と慣行水田で採水調査を行ったほか、山形県・滋賀県・広島県・島根県・福岡県の慣行水田・環境保全型水田からも環境DNAサンプルを得ることができた。また陸地の環境DNAに関してもクモの網からDNA抽出を行い、鳥類や哺乳類、菌類等のDNAを検出することができた。これらのデータ整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の主な目標は、①サンプリング・検出技術の確立、および②DNAデータの取得・解析である。①に関しては、水田のどこで何回採水すれば良いか、最適な採水方法を検討できた。また節足動物に関して、検出される分類群に偏りがあるため、それを補うための新たなプライマーの開発も行うことができた。②に関しても栃木県の定期的な調査と広域調査により多くの環境DNAデータを得ることができた。またクモの網を用いた陸域からの環境DNA検出に関しても、試行を行うことができた。以上の理由からおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
3年目の目標は、①サンプリング・検出技術の確立、および②DNAデータの取得・解析に加え、③環境-生物多様性-作物データの解析の実施が挙げられる。環境データおよび収量データを取得するために農家を対象とした聞き取り調査を実施する(一部実施済み)。これを基に、ほ場管理が生物多様性に与える影響および生物多様性と収量の関係を解析する。①に関しては、22年度にサンプリングデザインについて検討を行ったが、より簡便に水を濾過するための手法の開発も行う。また陸地の環境DNAの検出手法に関しては昨年のデータを解析し、必要に応じてサンプリング手法の改善を行う。
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