研究課題/領域番号 |
21H02234
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山崎 理正 京都大学, 農学研究科, 助教 (80263135)
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研究分担者 |
伊東 康人 兵庫県立農林水産技術総合センター, 森林林業技術センター, 研究員 (70510923)
岡田 龍一 神戸大学, 理学研究科, 学術研究員 (20423006)
池野 英利 福知山公立大学, 情報学部, 教授 (80176114)
森 直樹 京都大学, 農学研究科, 教授 (30293913)
西岡 正恵 (石原正恵) 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (90594367)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
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キーワード | ナラ枯れ / カシノナガキクイムシ / 触角電気応答 / 揮発性物質 / 森林動態 / 寄主選択 / 樹冠 / 一次誘引 / フライトミル / 飛翔高度 / 飛翔生態 / 樹幹表面構造 |
研究開始時の研究の概要 |
カシノナガキクイムシがブナ科樹木に穿孔して病原菌を運搬し、健全木を集団的に枯死させるナラ枯れが日本各地で問題となっている。カシノナガキクイムシは寄主樹種へ飛来し穿孔に至る過程で様々な刺激を利用しているが、野外ではブナ科以外の非寄主樹種への着地や穿孔というエラーも観察される。樹冠や樹幹からの揮発成分、樹幹表面の溝構造や堅さなど、エラーが発生している非寄主樹種と本来の寄主樹種に共通の要因を探索する。樹種構成や立木密度が異なる複数の森林で野外調査を行い、エラーの発生頻度を比較して、一般性の有無を確認する。成果を活かした防除資材を開発し、カシノナガキクイムシの誘引捕獲方法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
兵庫県立三木山森林公園内の二次林にて、カシノナガキクイムシの捕獲試験を行った。8本の未被害のコナラの樹幹地際部に粘着トラップを、主幹近辺の地上高1~9mに2m毎に衝突板トラップを設置した。約1週間毎に捕獲数を計数し、衝突板トラップでの捕獲数に影響する要因を解析した。その結果、地際への着地数が多い時期に衝突板トラップでの捕獲確率は高く、捕獲数は多くなっていた。1~9mのどの高さでもカシノナガキクイムシは捕獲され、低くなるほど捕獲確率は高く、主幹に近づくほど捕獲数は多くなっていた。上部の樹幹遠方から下部の樹幹近傍に向けて捕獲数が多くなっており、カシノナガキクイムシが上から集まってきていることが示唆された。 エタノールがカシノナガキクイムシの穿孔行動に及ぼす影響を室内実験で検証した。被害材から羽化脱出したカシノナガキクイムシのオスをフライトミルで飛翔させた後、溝を切ったメラミン素材の直方体と希釈したエタノール溶液2mlを設置したプラスチックケースの中に入れ、認知・待機・穿孔の有無について、30分間の観察を行った。溝の角度を3パターン、エタノール濃度を3パターン、計9パターンの材を用意して各々7頭ずつデータを収集し、どの行動が何に影響を受けるかを解析した。その結果、穿孔行動のみが溝の角度とエタノール濃度に影響を受けており、角度が緩やかなほど、エタノール濃度が高いほど、穿孔確率が高くなる傾向が見られた。 兵庫県宍粟市にて、一次誘引の候補物質を用いたカシノナガキクイムシの誘引試験を行った。トラップは昨年度と同じ仕様とし、イソプレンの有無、エタノールの有無で4処理区、2繰り返しで計8本のトラップを立て、2日から9日間隔で10回、設置と回収を繰り返した。その結果、カシノナガキクイムシの捕獲に及ぼすエタノールの効果は認められたが、イソプレンの効果は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で目的として掲げている項目のうち「飛来に関与する要因の解明」について、野外調査の結果はカシノナガキクイムシが寄主木に上からアプローチしていることを示唆していた。対象昆虫の寄主選択様式を明らかにする上で重要な成果で、論文としてまとめた。 「穿孔に関与する刺激の解明」については、飛翔後の穿孔行動がエタノールで促進されることが室内実験で示された。「防除資材の開発」では一次誘引物質の候補としてその効果を検証したイソプレンについては効果が確認できなかったが、エタノールの効果が確認された。カシノナガキクイムシが樹幹にアプローチし穿孔する段階で、樹幹から揮発するエタノールが影響を及ぼしていることが示唆され、野外における防除に役立つ知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
衝突板トラップでの捕獲試験では、トラップの設置高に限界があり、樹冠上部での捕獲を十分に行えなかった。設置方法を改善し、カシノナガキクイムシの寄主木へのアプローチ経路の解明を目指す。 飛来に影響する物質の特定に関して、候補物質に対する触角の電気応答試験を行う。候補物質に対する飛翔中の反応を見るために、フライトミルの構造の改良を行う。 防除資材の開発に向けて、一次誘引の候補物質であるイソプレンは揮発速度が早いので、カシノナガキクイムシが活発に飛翔する午前中に揮発するよう設置時間を改良する。
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