研究課題/領域番号 |
21H02239
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
井上 智美 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主幹研究員 (80435578)
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研究分担者 |
下野 綾子 東邦大学, 理学部, 准教授 (30401194)
高津 文人 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 室長 (30514327)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | マングローブ / 通気組織 / 窒素固定 / 植物バクテリア相利共生 / マングローブ植物 / 窒素固定バクテリア / 呼吸根 / 相利共生 |
研究開始時の研究の概要 |
課題代表者らは、マングローブ植物の地上根の通気組織を通じたガス輸送によって大気中の窒素ガスが土中の窒素固定バクテリアに供給されていることを明らかにした。このことは、マングローブ植物と窒素固定バクテリアとの間に相利共生関係が働いており、満潮時に土壌が冠水しても、通気組織が安定的な窒素供給経路として機能している可能性を示唆している。本研究では、マングローブ植物の根圏可給態窒素量が通気組織の発達の規定因子となっているかどうかを確かめる。以上によって、窒素不足になりやすい干潟土壌に生育するマングローブ植物の窒素獲得機構について、通気組織を介したガス輸送とバクテリア共生の側面から新たな知見を提供する。
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研究実績の概要 |
これまでの研究により、マングローブ植物ヤエヤマヒルギに見られる地上根の通気組織を介した大気ガスの拡散輸送が、土壌中の根圏に生息する窒素固定バクテリアへの窒素供給源になっていることが明らかとなっている。マングローブ植物にとって地上根と通気組織は、窒素不足になりやすい干潟環境への適応的な形質でもあるのかもしれない。本課題では、マングローブ植物の根の空隙率と根圏の窒素濃度との関係を明らかにすることを目的としている。昨年度に行った栽培実験により、ヤエヤマヒルギの当年生実生の根の空隙率が、低窒素環境下で増加していることが明らかとなった。今年度は、野外に生育する成木個体を用いた検証を行った。沖縄県西表島のマングローブ林に生育するヤエヤマヒルギの成木15個体について、根圏土壌間隙水と不定根を採集し、土壌間隙水中の無機窒素濃度(硝酸態N、亜硝酸耐N、アンモニア態N)と根の空隙率を計測した。各個体の根圏土壌間隙水中のアンモニア態N濃度は、河川水供給量や有機物堆積量となどに依存して異なっていた。各個体の不定根の空隙率と土壌間隙水アンモニア態N濃度とに負の関係が見られたことから、野外の成木個体でも、低窒素環境下で根通気組織のガスコンダクタンスが上昇していることが示唆された。また、根の空隙率は硝酸態窒素とも負の関係があった。アンモニア態Nと硝酸態Nとの間には関係が見られなかったことから、根の空隙率と硝酸態Nとの関係は、嫌気環境による通気組織の誘導形成を示している可能性がある。嫌気環境の指標となる他の物質として還元鉄に着目し、分析と解析を進めている。これまでに得られた成果について結果を整理し、国内学会にて報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、栽培実験と野外調査の両輪で検証を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
低窒素下で根通気組織の誘導形成が起きていることを検証するため、通気組織形成に関わる遺伝子発現解析を進める。また、野外調査で採取したサンプルの分析と解析を継続して進める。
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