研究課題/領域番号 |
21H02254
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
河合 真吾 静岡大学, 農学部, 教授 (70192549)
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研究分担者 |
米田 夕子 静岡大学, 農学部, 准教授 (90638595)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
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キーワード | アクチノリザル共生 / 環状ジアリールヘプタノイド / 根毛変形因子 / 共生シグナル / 共生シグナル物質 |
研究開始時の研究の概要 |
オオバヤシャブシなどのアクチノリザル樹木は、窒素固定能を有する放線菌フランキアと共生し、窒素源を早期に獲得し生長する。この機構は、地球上の窒素循環解明や木質バイオマスの持続可能な供給に極めて重要である。 我々は、オオバヤシャブシが環状ジアリールヘプタノイドを特異的に生合成し、根粒形成のシグナル物質として関与することを突き止めたが、その生合成経路の全容は未解明である。また、フランキア側からのシグナル物質についても特定されていない。 本研究は、オオバヤシャブシジアリールヘプタノイドの生合成遺伝子の特定と、フランキアの分泌するシグナル物質の化学構造解明を目的としている。
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研究実績の概要 |
アクチノリザル樹木は、窒素固定能を有する放線菌フランキアと根粒共生することで窒素源を早期に獲得し成長する。研究代表者らは、この共生は、オオバヤシャブシに関しては樹木が特異的に生合成する環状ジアリールヘプタノイドが、初発のシグナル物質として関与し根粒数の増加を引き起こしていることを明らかにし、本年度、Fitoterapia(162, 105384)に報告した。 さらに、昨年度から継続して、このジアリールヘプタノイド化合物の縮合反応を触媒すると予想されたポリケチドシンターゼ(PKS III)を特定する目的で、、葉部、雄花序、雌花序、若枝茎部などからRNAを単離し、次世代シーケンス解析を行った。しかしながら、発現量解析を含めて細部まで検討したものの新規PKS III遺伝子の存在は確認できなかった。 一方で、これまで遺伝子の単離と大腸菌での酵素発現を確認していた2種類のジアリールヘプタノイド側 鎖の二重結合還元酵素(DBR)については、その基質特異性と、pH・至適温度などの特性を調べ、DBRがジアリールヘプタノイド二重結合を特異的に還元することなどを明らかにした。現在論文投稿中である。 さらに、フランキア側からのシグナル物質である根毛変形因子に関しては、オオバヤシャブシ木粉のメタノールあるいは酢酸エチル抽出物のフランキア培養液への添加による菌体量の変化と、その培養上清添加によるオオバヤシャブシ根毛変形を検討した。その結果、メタノール抽出物では菌体の成長促進と根毛変形の増加が、酢酸エチル抽出物は根毛変形の増加に影響を及ぼすことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジアリールヘプタノイドの生合成における縮合酵素の特定については難航しているが、二重結合還元酵素についてはその遺伝子と発現酵素によるキャラクタリゼーションが終了し、論文公表段階に至っている。 また、フランキア側からのシグナル物質である根毛変形因子は、樹木が分泌する抽出成分が、菌体成長と根毛変形活性に影響することを確認できた点は大きな進展であると考えている。 したがって、今年度の成果は概ね順調に進展していると結論した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに単離した酵素遺伝子とは異なる縮合酵素遺伝子が複数の部位のシーケンス解析と発現量解析から確認できないことから、現在までに確認された酵素で触媒できるかどうか再度検討する。別の実験から本樹木から取得した4-クマル酸CoAリガーゼ遺伝子や二重結合還元酵素を含めて一斉発現させることを計画している。 また、フランキア側の根毛変形因子に関しては、抽出物添加による根毛変形活性成分大量回収法の検討と、フランキア培養系の大型化による改良を行い、根毛変形因子の大量回収とクロマトグラフィーによる分画を早急に進め、部分的でもその構造に関する情報を得たいと考えている。
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