研究課題/領域番号 |
21H02258
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西村 裕志 京都大学, 生存圏研究所, 特定准教授 (50553989)
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研究分担者 |
寺本 好邦 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40415716)
高野 俊幸 京都大学, 農学研究科, 教授 (50335303)
吉永 新 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60273489)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | バイオマス / リグニン / セルロース / リグノセルロース / リグニン多糖複合体 / NMR / 交代 / 抗体 |
研究開始時の研究の概要 |
植物バイオマス変換における最大の障壁はリグニンと多糖の分離である。しかし、リグニンと多糖間の共有結合(LC結合)の正確な分子構造、局在、形成過程は未解明である。LC結合は、高分子主鎖に対して数%であり、解明のボトルネックとなっている。本研究では、独自技術によりLC結合認識抗体を作出し、植物組織・細胞における局在、形成過程、分子構造を解析し、リグニンと多糖という性質の異なる高分子間の結合が、いつ、どこで、どのように形成されるのかという、植物科学における未踏領域の問いに挑む。LC結合の存在形態の可視化と迅速分析法は、多様な植物バイオマスの新しい評価軸および高付加価値分子の創出へ波及する。
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研究実績の概要 |
植物バイオマスは光合成によって再生産可能な有機資源である。植物の細胞壁は芳香族高分子であるリグニンと、多糖であるセルロース、ヘミセルロースが共存し複合体を形成していて、総じてリグノセルロースと呼ぶ。リグニンと多糖の分離は、植物バイオマスから化成品やバイオ燃料を生産する上で重要である。現行の工業的変換法は、セルロースの取得を優先し、残渣成分(リグニンとヘミセルロースの一部)は熱変性による過分解物としてサーマルリサイクル(熱回収)されることがほとんどである。リグニン-多糖間結合(LC結合)の分子構造と分布を正確に理解することは、バイオマス資源の特性評価、環境負荷の小さい変換法設計の基盤であり、リグニンの高度利用への道を拓く上で不可欠である。 本研究では、未解明であるリグニンと多糖間の共有結合(LC結合)の正確な分子構造、局在、形成過程の理解のための基盤技術開発を行った。LC結合の正確な構造の解析、植物種(針葉樹、広葉樹、草本)による相違点の把握を進め、効率的なLC結合を含むリグノセルロース画分の分画法の開発を進めた。LC結合は、高分子主鎖に対してわずかであり、解明のボトルネックとなっており、効率的な分離方法を開発を進めた。特にエーテル型LC結合、およびエステル型LC結合について、それぞれ検討と分離を進め、2次元NMR法による構造解析によるLC結合の把握をしつつ進めた。またKC結合に関する新たな知見が得られたため、多次元NMR法による構造決定を行い、成果の取りまとめを行った。この基盤技術からLC構造を認識する抗体開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の基盤的なLC結合について新たな知見が得られ、この解析と成果の取りまとめを行いつつ、研究を進めている。そのため全体として研究期間を延長するが概ね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
高純度のLC画分の調製が必要であることが判明したため、分離精度とスケールアップを中心に進め、LC結合の基盤的な研究知見の進める。
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