研究課題/領域番号 |
21H02328
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
矢野 勝也 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (00283424)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
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キーワード | CO2 / バイオマス / 水利用効率 / 栄養状態 / 高CO2 / 窒素 / リン / カリウム / 植物栄養 / 蒸散 |
研究開始時の研究の概要 |
植物のバイオマス生産量と蒸散量の間には緊密な関係が存在し、バイオマス生産量=積算蒸散量×水利用効率、と表現できる。ここで水利用効率とは、蒸散量当たりのバイオマス生産量を示す。水利用効率が高いと少量の水消費でバイオマス生産が可能となり、乾燥耐性の指標となっている。ただし、水利用効率とバイオマス生産の間にはトレードオフの関係があると従来は考えられていた。しかし、高CO2環境下ではこのトレードオフが打破される可能性があり、本研究では窒素・リン栄養状態が水利用効率の向上、さらにはバイオマス生産増を可能にするかどうかを検証する。
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研究実績の概要 |
これまでに得られたデータを用いて、異なるCO2環境下で窒素・リン・カリウム栄養状態を変動させた場合のジャガイモの水分経済(バイオマス=水消費量×水利用効率)に関するたメタ解析を行った。その結果、窒素・リン・カリウムの栄養状態を変動させた場合であっても、水利用効率と負の相関を有するΔ13C値(13C同位体分別効果)は概ね保持されることを確認できた。ただし、CO2濃度の上昇は両者の関係の傾きを変化させないものの、切片を変化させることが明らかとなった。この切片の変化は、CO2が水に溶解する際または水中での移動速度に関する同位体分別、あるいは呼吸・光呼吸の際に同位体分別が起きた可能性を示唆する。ここで得られた結果は、Δ13C値から水利用効率を推定することが窒素・リン・カリウム栄養状態を変動させた場合、同一CO2環境内で比較する限り有効であること、ただし異なるCO2環境下での比較では補正を要することを示唆する。 土壌水分を8段階、CO2濃度を3段階設けて、イネ6系統の水分経済(バイオマス=水消費量×水利用効率)を検証した。その結果、CO2濃度の上昇は昼間の蒸散を抑制しても夜間の蒸散にはほとんど抑制しないこと、その結果水消費量に対する夜間蒸散の寄与が大きくなることを実証できた。さらに、夜間蒸散の寄与率は系統間で大きく異なり、夜間蒸散を抑制するための遺伝的制御の可能性が示唆された。 前年度までの結果で、高CO2環境が植物の老化を促進する可能性が示唆された。そこで、供与する窒素形態に応じて高CO2環境が誘起する老化速度が異なるかどうかを検証した。その結果、硝酸を供与した場合と比較して、尿素を供与したジャガイモでは老化が抑制されることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異なるCO2環境下で窒素・リン・カリウム栄養状態を変動させた場合のジャガイモ水分経済(バイオマス=水消費量×水利用効率)の定量化は概ね完了できた。また、高CO2環境はイネの夜間蒸散の割合を高めるが、その程度には系統感差異があり、遺伝的な制御の可能性を示すことができた。さらに、高CO2環境が誘起する老化促進現象に対しては、供与する窒素形態によって制御できる可能性も判明した。
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今後の研究の推進方策 |
高CO2環境が誘起する老化促進現象に対しては、供与する窒素形態によって制御できる可能性が示されたので、窒素固定能との関係も含めてさらに解析する予定である。同時に、シンク制限処理の有無で老化促進現象が変化するかどうかも合わせて調査していく予定である。その際に、昼間と夜間それぞれの蒸散速度にも着目した解析を予定している。
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