研究課題/領域番号 |
21H02369
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
杉浦 喜久弥 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (30171143)
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研究分担者 |
鳩谷 晋吾 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 准教授 (40453138)
赤澤 隆 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん創薬部主任研究員 (80359299)
弓場 英司 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80582296)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 腫瘍微小環境 / 繊維芽細胞成長因子2 / 腫瘍血管内皮細胞 / 腫瘍遺伝子治療 / 腫瘍免疫治療 / 線維芽細胞成長因子2 / 遺伝子治療 / 免疫治療 / 活性化線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、腫瘍の成長にとって非常に重要な役割をもつ腫瘍微小環境に焦点をあて、1)腫瘍の増殖を抑制する活性化線維芽細胞を育てるサイトカインである線維芽細胞増殖因子2の腫瘍細胞への遺伝子を導入によって腫瘍が成長しにくい間質組織を構築し、2)腫瘍への栄養補給を担い、腫瘍細胞の転移を促進する腫瘍血管内皮細胞を高効率アジュバントを用いた免疫反応によって選択的に除去することによって、腫瘍の成長阻害を試みる。本研究の成果は、生体内の腫瘍における腫瘍の成長と微小環境の関係を明らかにするのみでなく、今後の腫瘍治療戦略に大きな影響を与えるものである。
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研究実績の概要 |
1)がん関連線維芽細胞構成の改変による腫瘍成長の抑制に関する研究では、クローニングした繊維芽細胞成長因子-2(FGF2)を生体内の腫瘍細胞に導入して発現させることを検討した。CT26WT大腸癌株を同系のBALB/cマウスに静脈内投与して肺に腫瘍を形成させたのち、腫瘍細胞に対する選択性の高い遺伝子導入担体を用いて、マウスFgf2遺伝子を挿入したpcDNA3.1発現プラスミドを担癌マウスに静脈内投与した。投与2日後に肺を採取して免疫組織化学によってFGF2の発現を調べたところ、プラスミドのみを投与したコントロールに比べて腫瘍細胞での発現が有意に増加した。一方、正常組織にはFGF2の発現は見られなかった。 2)腫瘍血管内皮細胞(TE)の除去による腫瘍成長の抑制に関する研究では、犬のがん治療への応用に向けて、マウスから分離した腫瘍血管内皮細胞(TEC)をin vitroにおいて増殖させることができるかを検討した。1)と同様にCT26WT大腸癌株の腫瘍を形成させたBALB/cマウス肺を採取し、磁気細胞分離法によってCD31陽性細胞分画を得た。この細胞分画について、内皮細胞マーカーのVEGFR2、TECマーカーのTEM8および抗原提示分子のMHCクラスⅠ(MHC Ⅰ)に対する抗体を用いて、フローサイトメトリーでの解析を基にVEGFR2高発現、TEM8陽性、MHC Ⅰ高発現(VEGFR2high TEM8+ MHC Ⅰhigh)細胞をTECとして分離した。この細胞は、これまでTECとして報告されている狭い細胞質を持つ角ばった細胞とマクロファージ様の大型細胞で構成されていた。本細胞をmatrigelまたはvitronectinをコートした培養皿において血管内皮用培地中で培養したところ、20継代以上増殖し、上記マーカーの発現も維持されていることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)当初の計画通り、生体において、腫瘍特異的にFGF2遺伝子を導入し、発現させることができた。 2)当初の計画通り、マウスの腫瘍からTECを分離し、培養方法を工夫することによって、in vitroにおいて増殖させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)、FGF2遺伝子を投与したCT26WT担癌マウス肺のがん組織におけるCAFの構成を筋線維芽細胞および線維芽細胞の特異的表面分子に対する抗体を用いて免疫組織化学染色によって調べる。また、FGF2遺伝子を投与によるがん成長抑制効果を処置担癌マウスの生存率などによって評価する。 2)培養によって増殖させたTECからライセートを作製し、それを新規アジュ バントを用いて免疫し、腫瘍ライセートを用いた場合と腫瘍治療効果を比較検討する。
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