研究課題/領域番号 |
21H02403
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 名古屋大学 (2023) 山口大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
島田 緑 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (60444981)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 乳がん / エストロゲン受容体 / プロリン異性化酵素 / FKBP / カルシウム / プロリン異性化 / ヒストン / がん / 遺伝子発現 / 遺伝子発現制御 / ヒストンコード / エピジェネティクス |
研究開始時の研究の概要 |
ヒストンの化学修飾(ヒストンコード)による遺伝子発現のエピジェネティック制御は、生命の様々な事象の根幹をなす機構である。今までヒストンコードについては、主にリン酸化、メチル化、アセチル化、水酸化、ユビキチン化、等の化学修飾が重要であることが知られてきた。しかし、これらの組み合わせは一次元的な情報であり、その立体構造変化による三次元的な制御についてはほとんど未解明のままである。本研究では立体構造変化によって引き起こされる“三次元的なヒストンコード”を実証する。本研究の成果は、生命科学の発展に貢献するとともに、三次元的なヒストンコードが関与する医学・病理学的な影響の検証から創薬研究へと展開する。
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研究成果の概要 |
乳がんの予後不良因子として、FKBP52 (FK506 Binding Protein 52)を同定した。FKBP52はアミノ酸の一種であるプロリンをシス・トランス体に異性化するプロリン異性化酵素である。乳がんの悪性化に密接に関連するエストロゲン受容体α(ERα)の機能をFKBP52が増強することが判明した。重要なことに、FKBP52阻害は乳がん細胞の増殖を顕著に阻害し、内分泌治療抵抗性の乳がん細胞株に対してもERαの不安定化をもたらし、増殖を阻害した。さらなる解析の結果、FKBP52は増殖を促進する遺伝子の発現をヒストンの修飾を介して活性化することが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
乳がんは女性のがんの中で最も罹患者数が多く、死亡者数も第二位となっており、臨床的に重要な疾患である。ER陽性乳がんに対しては、内分泌療法が効果的であるが、一定の割合でこれらの治療に対して再発することが問題となっている。再発には耐性化が原因だと考えられておりERαの活性化が深く関与している。このような背景からER陽性乳がんの再発を克服する新規治療法の開発が求められている。今回の研究成果は、ER陽性乳がんの患者さんに対して問題となるERαの活性化による乳がんの再発に対して理解を深めることとなり、新たなバイオマーカーの発見、効果的な治療法開発へと展開することが期待できる。
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