研究課題/領域番号 |
21H02409
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
村田 武士 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (80415322)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | V-ATPase / 分子モーター / 構造解析 / イオン輸送 / 分子メカニズム |
研究開始時の研究の概要 |
腸球菌V-ATPaseはATPのエネルギーを使って回転しながらイオンを輸送する膜たんぱく質で、腸球菌の生育に重要な役割を担っています。最近我々は薬剤耐性腸球菌の抗菌剤が結合した腸球菌V-ATPaseの詳細な立体構造マップを得ることに成功しました。そこで本研究では、腸球菌V-ATPaseの詳細な立体構造を決定します。そして、得られた構造情報からイオン輸送や抗菌剤結合に重要と考えられる箇所を詳細に解析し、V-ATPaseがどのようにイオンを輸送するのか、抗菌剤がどのようにV-ATPaseを阻害するのかを明らかにします。
|
研究実績の概要 |
V-ATPaseは、ATPの加水分解エネルギーを回転運動に変換するV1部分と、その回転運動をH+(またはNa+)の濃度勾配エネルギーに変換するVo部分から構成される回転分子モータータンパク質/イオンポンプである。最近我々はクライオ電子顕微鏡を用いて、抗菌剤が結合した腸球菌V-ATPase全複合体の密度マップを得ることに成功した。本研究では、得られた構造・機能解析情報を統合することにより、①本酵素のNa+輸送メカニズム、②抗菌剤によるNa+輸送阻害メカニズム、③Na+輸送とH+輸送の分子メカニズムの違いを解明する。以下に本年度得られた研究成果の概要を記載する。 <1> 腸球菌V-ATPaseの構造解析---本年度は、構造モデリングと精密化を行い、抗菌剤結合したVo部分の立体構造を分解能2.2Aで決定することに成功した。 <2> 腸球菌V-ATPase変異体の機能解析と構造解析---本年度は昨年度作製した変異体について1分子回転実験を行い、細胞内からのNa+結合に関与する部位を同定した。 <3> イオン輸送メカニズムの解明---<1>で得られた電顕構造と<2>の変異体の性質と構造の違いから、①本酵素におけるNa+輸送メカニズムおよび②抗菌剤によるNa+輸送阻害メカニズムを提案した。以上をまとめた論文を投稿準備中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に従って、得られた立体構造と機能解析情報から本酵素におけるNa+輸送メカニズムおよび抗菌剤によるNa+輸送阻害メカニズムを提案するに至ったため、順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
当初計画に従って、各種構造解析結果と機能解析結果を統合することにより、V-ATPaseにおけるNa+輸送とH+輸送のメカニズムの違いを明らかにする。
|