研究課題/領域番号 |
21H02413
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
藤橋 雅宏 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (10397581)
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研究分担者 |
高橋 宏隆 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (70432804)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
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キーワード | 結晶構造 / ピロリン酸 / リン酸化酵素 / ピロリン酸依存性リン酸化酵素 / 結晶構造解析 / 無細胞タンパク質合成 |
研究開始時の研究の概要 |
「リン酸化反応」は生体内で広く見られる化学反応です。様々な化合物が「リン酸化」されることが知られており、それぞれの化合物に対応した「リン酸化酵素」が存在します。一方でリン酸化反応に必要な「リン酸」は、ほとんど全ての場合、ATPという分子から供給されます。これに対して私達は「ピロリン酸」という分子をリン酸の供給源とするリン酸化酵素を発見しました。ピロリン酸はATPと比べて3桁安いこと、リン酸化反応はうまみ調味料の製造や化粧品の美白成分などにも関連することなどから、様々な化合物の安価で安全なリン酸化をめざして、ピロリン酸依存性のリン酸化酵素の天然からの発掘や、人工的な構築を行います。
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研究実績の概要 |
kinase によるリン酸化反応は、代謝や環境変化への応答など種々の重要な生命活動に関わる。リン酸化反応は ATP をリン酸基供与体とする報告がほとんどであるが、私達はピロリン酸 (PPi) をリン酸基供与体とするリン酸化反応の機構を世界に先駆けて明らかにし、PPi 依存性の kinase (PPi-kinase) を ATP 依存性 kinase (ATP-kinase) と見分けうる指標を見いだした。本研究ではこの指標を手がかりに、データベースに眠る未同定の PPi-kinase を様々な生物から同定することをめざしている。また、遺伝子データベース中の kinase から PPi-kinase を効率的に見いだす方法の構築も目指している。 2021 年度に実施予定であった研究は、新型コロナウイルスの蔓延による所属機関の活動制限により、2022 年度にかけて 2 年間にわたっておこなった。まず、タンパク質三次元構造データベース (PDB) に登録されている kinase の約 2500 個について、予備研究により見出している立体構造上の特徴を有するかを調査した。この結果、いくつかの酵素を PPi-kinase の候補とすることができた。並行して予備研究で PPi-kinase であることが判明している酵素について、大腸菌による大量発現と精製、結晶化とならびに X 線結晶構造解析を行い、PPi-kinase がどのように PPi を認識するのかの解析をすすめた。 活性スクリーニングについては、分担研究者の愛媛大学高橋准教授により、無細胞系での酵素発現、タグに対応する抗体と磁気ビーズによる精製により、多検体を効率的に発現精製す系を構築した。この系で発現精製した酵素により、PPi-kinase の候補が実際に PPi-kinase 活性を持つことも確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021 年度は新型コロナウイルスの蔓延による所属機関の活動制限や、代表者の研究機関移動の影響などにより、研究進捗に遅れが生じた。現在までに 2021 年度の計画は概ね完了しており、新たなトラブルがなければ遅れは解消に向かうと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
結晶構造解析中の PPi-kinase の構造を決定し、これを利用して一次構造からPPi-kinaseを特定するシグニチャー配列が存在しないかを探索する。また、分担研究者が構築した系を用いて、複数の PPi-kinase 候補の活性スクリーニングを行う。
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