研究課題
基盤研究(B)
mRNAスプライシングは真核生物の遺伝子発現にとって必須の機構であるが、スプライシングに異常のある細胞を排除する「細胞の品質管理機構」は知られていない。申請者は、スプライシング阻害時の遺伝子発現変化が、「細胞の品質管理機構」に関わることを見出した。そこで、スプライシング阻害時に発現が変化する遺伝子の解析を通して、スプライシング異常時の細胞の品質管理機構を解明する。本研究は、スプライシング関連疾患の治療法の開発や、スプライシングが発達している高等真核生物への進化の過程の理解にも貢献できる。
私たちの体内には、疾患などの原因となりうるスプライシング異常細胞が増殖することを防ぐための分子機構が存在すると考え研究を行なった。その結果、スプライシング異常細胞は細胞周期の停止もしくは細胞死により増殖が抑制されることが明らかとなった。細胞周期停止の分子機構は、CDKインヒビターp27のトランケート型タンパク質p27*がG1期サイクリン、M期サイクリンの両方を阻害することにより細胞周期が停止することであることが明らかとなった。また、p27*は正常型のp27と比較し安定性が高いため、より強い細胞周期停止活性があることがわかった。
私たちの研究成果は、私たちの体内でスプライシング異常細胞の増殖がどのように抑制されているかを明らかにするものです。スプライシング異常細胞は様々な疾患の原因となるため、このメカニズムの解明はスプライシング異常に関わる疾患の治療法の開発につながると考えられます。また、高等真核生物ではスプライシングを利用することにより、より複雑な生命活動を行っていますが、より多くのスプライシング異常のリスクがあります。このメカニズムは、高等真核生物への進化を考える上でも重要であると言えます。
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) 図書 (2件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 299 号: 10 ページ: 105168-105168
10.1016/j.jbc.2023.105168
生化学
巻: 94 号: 6 ページ: 829-836
10.14952/SEIKAGAKU.2022.940829
Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 608 ページ: 39-44
10.1016/j.bbrc.2022.03.085
Molecular and Cellular Biology
巻: 42 号: 11
10.1128/mcb.00217-22
Int. J. Mol. Sci.
巻: 22 号: 21 ページ: 11623-11623
10.3390/ijms222111623
Cell Chem. Biol.
巻: - 号: 9 ページ: 1356-1365
10.1016/j.chembiol.2021.03.002