研究課題/領域番号 |
21H02441
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高田 彰二 京都大学, 理学研究科, 教授 (60304086)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 粗視化シミュレーションクロマチン / GPU計算 / CafeMol / 粗視化シミュレーション / クロマチン |
研究開始時の研究の概要 |
次世代粗視化シミュレーション法を開発し、それを適用して細胞内構造体の分子構造・動態・相互作用解析を行う。具体的にまず、(A) 分子間の弱い非特異的相互作用を表現できる次世代粗視化エネルギー関数を開発する。構造データベース・全原子MDデータからのベイズ統計・機械学習によって最適化する。次に、(B) GPU計算に対応するためにソフトウエアを再構築する。今日、高性能GPUを用いたシミュレーションが普及しており、桁違いの高速化を示す場合が多い。CafeMolをGPU対応のopenMMライブラリを用いて再構築する。さらに、(C) 開発中の次世代粗視化シミュレーション法を、細胞内構造体の計算に適用する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、次世代粗視化シミュレーション法を開発し、それを適用して細胞内構造体の分子構造・動態・相互作用解析を行う。具体的にまず、(A) 分子間の弱い非特異的相互作用を表現できる次世代粗視化エネルギー関数を開発する。構造データベース・全原子MDデータからのベイズ統計・機械学習によって最適化する。次に、(B) GPU計算に対応するためにソフトウエアを再構築する。今日、高性能GPUを用いたシミュレーションが普及しており、桁違いの高速化を示す場合が多い。CafeMolをGPU対応のopenMMライブラリを用いて再構築する。さらに、(C) 開発中の次世代粗視化シミュレーション法を、細胞内構造体の計算に適用する。 (A) 液液相分離等をシミュレーションするために開発されてきたHydrophobic scale (HPS)モデルの実装とそのパラメータチューニング・検証を行った。Nanog, Oct4の液液相分離について検証のためのシミュレーションを行い、液液相分離を起こす臨界濃度について、既存のin vitro実験と整合する結果を得ることに成功した。 (B)タンパク質の粗視化モデルとして我々が開発・利用してきたAICG2+モデルをOpenMMで実装し、正しく計算できることを確認した。計算速度用について今度検証する。 (C)哺乳類胚性幹細胞におけるマスター転写因子Nanogが、液液相分離のなかでミセル状の内部構造を形成することを見出した。液液相分離の凝集相における内部分子構造の発見は新規性が高い。今後、さまざまな転写因子および核酸の混合系における液液相分離と凝集相の内部構造に迫る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(A) 液液相分離等をシミュレーションするために開発されてきたHPSモデルの実装とパラメータチューニング・検証を行った。Nanog, Oct4の液液相分離についてin vitro実験と整合する結果を得ることに成功した。Hydrophobicity scale model (HPS)モデルは、簡便に非特異的疎水性・親水性相互作用を表現するポテンシャルとして世界的に広まっており、その精密なパラメータチューニングが進められている。液液相分離について定量的な検証を行った例は少なく、本成果は貴重な結果と考えられる。 (B)タンパク質の粗視化モデルとして我々が開発・適用を進めてきたAICG2+モデルをOpenMMで実装し、正しく計算できることを確認した。AICG2+モデルには、通常の距離に依存した対ポテンシャルだけでなく、スプライン補間等の非典型的な関数が使われておりそれのOpenMMへの実装を慎重に行った。計算速度用について今度検証する。 (C)哺乳類胚性幹細胞におけるマスター転写因子Nanogが、液液相分離のなかでミセル状の内部構造を形成することを見出した。ミセルはNanogのC末ドメインに存在するトリプトファンリピートの集合によって引き起こされる。トリプトファンをアラニンに変異すると相分離は消失することを見出した。これらは、転写の液液相分離モデルを解析するための重要な基礎になるとともに、液液相分離によって生じた凝集相の内部構造を示唆する点で新規性が高い。
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今後の研究の推進方策 |
(A) タンパク質-核酸間の相互作用について、電荷の取り扱いや水素結合等のDNA配列非特異的相互作用のパラメータチューニングを進める。 (B)タンパク質の粗視化AICG2+モデルのOpenMMによる計算速度の検証、最適化をおこなうとともに、リン脂質および核酸モデルのOpenMMへの実装を進めていく。 (C)同様のシミュレーション方法によって、さまざまな転写因子およびDNA,RNAとの混合系における内部構造を分析する。これによって、転写の液液相分離モデルの分析を進める。
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