研究課題
基盤研究(B)
SARS-CoV-2は2020年3月にWHOによりパンデミックとして認定され世界中に広がり、感染による死亡者は数多く、国内外の製薬社や研究機関により、ワクチンやin-silico手法による創薬開発は活発に行われているが開発までには時間がかかる事とウイルス関する学問的な知見が足りない。本計画班の目指すSARS-CoV-2のNタンパク質の構造やウイルスの増殖機構解明は、それを基に細胞内でのウイルス増殖現象の制御・治療・創薬スクリーニングという広大な新分野の開拓を先導するものであり、かつ学術面で独創的な新領域の研究分野であると言える。
Nタンパク質はアミノ酸419残基を持つ分子量約50kDa.の分子量である。発現系で確認した結果、大腸菌で大量発現ができた。Nタンパク質は、8両体の複合体の分子量は約450kDa.になり、単粒子解析には最適な試料である。約1000条件程度の条件検討を行った結果、0.1M-クエン酸ナトリウム pH5.0, PEG20K条件で、ポリ微結晶が得られて、最適化を行なった結果平均30ミクロンの結晶を得ることができた。実験系のX線発生装置を使用し、反射点を確認した結果、約4A程度の反射点を得た。今後、質の良い結晶化の条件検討と、大型放射光施設で回折実験を行う予定である。
人類は21世紀に入り、2002年の重症急性呼吸器症候群(SARS)であり、コウモリが原因であると報告されている。その後、2019年末には、SARS-CoV-2は中国の武漢で呼吸器疾患のアウトブレイクを引き起こした。コロナウイルスは一本鎖RNAウイルスで、ヒトへの感染が確認されているCoVは7種類が存在している。これらのCoVに感染すると様々な重症度の呼吸器症状を発症する。今後、生物学的な感染機構解明や合理的で有効な治療薬の開発を急務とされている。本研究はウイルスRNAアセンブリーの安定化に関わっているNタンパク質の構造解明によるウイルスの増殖機構解明を目指し、構造解明を行なった。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件)
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