研究課題/領域番号 |
21H02459
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43050:ゲノム生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石濱 泰 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30439244)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | プロテオフォーム / プロテオーム / スプライシング / 翻訳開始点 / プロテオリシス |
研究開始時の研究の概要 |
プロテオフォームとは、RNAスプライシングやSNPs等のmRNAに由来するアイソフォームだけではなく、翻訳制御により様々な翻訳開始点や終始点をもつタンパク質、翻訳後に生じる内在性プロテオリシス産物や翻訳後修飾体も含めて多様なタンパク質一次配列の違いに基づく呼称である。本研究では、①プロテオフォームを大規模解析する技術を開発し、②プロテオフォームがもたらすプロテオーム多様性が、どのような制御を受けて形成されているか、その全体像「プロテオフォームランドスケープ」を明らかにする。これらは、本研究の次のステージで、細胞の機能や疾病との関連を調べるための基盤となる。
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研究実績の概要 |
プロテオフォームとは、RNAスプライシングやSNPs等のmRNAに由来するアイソフォームだけではなく、翻訳制御により様々な翻訳開始点や終始点をもつタンパク質、翻訳後に生じる内在性プロテオリシス産物や翻訳後修飾体も含めて多様なタンパク質一次配列の違いに基づく呼称である。本研究では、①プロテオフォームを大規模解析する技術を開発し、②プロテオフォームがもたらすプロテオーム多様性が、どのような制御を受けて形成されているか、その全体像「プロテオフォームランドスケープ」を明らかにする。これらは、本研究の次のステージで、細胞の機能や疾病との関連を調べるための基盤となる。R4年度は、前年度に確立したタンパク質N末端およびC末端ペプチド濃縮法を用いて、肺がん細胞株群に適用し、細胞株選択的プロテオフォーム制御機構同定の検討を開始した。その結果、細胞株選択的に発現しているスプライシングバリアントで最後から2つ目のエクソンが伸長し、新たな終始コドンを有するトランスクリプトが確かに翻訳されていることを示すC末端プロテオーム解析結果が得られた。一方で、細胞株ごとのトランスクリプトームデータ、トランスレイトームデータが必ずしも末端プロテオームデータを完全にカバーできていないこともわかりつつあり、末端プロテオーム測定データからどのような検索データベースと検索条件を用いてネオ末端情報を得るかについては、更なる最適化が必要であることが分かった。また、脂肪細胞分化過程に末端プロテオーム解析を適用し、翻訳後のプロテアーゼによる分解の分化への寄与について検討したところ、いくつかのプロテアーゼが重要な役割を果たしていることがわかった(論文投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、一年目(2021)に主要な手法の確立に成功し、2022年度は、肺がん細胞株や脂肪細胞分化過程への適用を行った。非典型末端を同定するためのデータベース検索法には更なる最適化が必要であるが、全体の進捗に影響を及ぼすほどではなく、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
前年からの継続で、がん細胞株群を用いた細胞株選択的プロテオフォーム制御機構解明を行う。代表者が研究代表者を務めるプロテオームデータリポジトリjPOSTは、JSTライフサイエンスデータベースプロジェクトで、ヒトゲノム/遺伝子, 遺伝的多様性, エピジェネティクス, RNA情報を集積したデータベースであるDBKERO (http://kero.hgc.jp)と連携している。DBKEROにはヒト非小細胞肺がん細胞株26種について徹底的に測定したRNAデータがコアデータとして格納されている(選択的スプライシングデータ、ゲノム変異データなどを含む)。この研究チームと連携し、同一条件の試料を調製した後、入手可能な非小細胞肺がん細胞株13種についてプロテオーム規模でプロテオフォームデータを取得する。N, C末端プロテオームデータ、分子量分画プロテオーム解析データ、培養上清も含めた細胞内小器官別プロテオーム解析データ、パルスラベルSILAC法を用いてタンパク質合成・分解を区別したプロテオームデータなどを取得する。得られたデータについて、トランスクリプトーム―プロテオーム相関解析に加え、プロテオフォームやさらにその構成因子との相関について解析をおこなう。 さらに、異なる組織由来の10種のがん細胞株のectodomain shedding研究において、我々はすでに、培養上清の末端プロテオミクスにより、内在性プロテオリシス産物としてN末端5,952種、C末端5,848種を同定することに成功している。この試料についても、大規模プロテオフォーム解析を行う。 さらに、マウス組織を用いた組織選択的プロテオフォーム制御機構解明に着手する。マウスから組織別にタンパク質を抽出し、大規模高深度プロテオフォーム解析を行い、組織ごとに特異的なプロテオフォームが発現しているかどうかを検討する。
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