研究課題/領域番号 |
21H02469
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43060:システムゲノム科学関連
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研究機関 | 昭和女子大学 (2023) 国立医薬品食品衛生研究所 (2021-2022) |
研究代表者 |
近藤 一成 昭和女子大学, 食健康科学部, 教授 (40270623)
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研究分担者 |
柴田 識人 国立医薬品食品衛生研究所, 生化学部, 室長 (30391973)
曽我 慶介 国立医薬品食品衛生研究所, 生化学部, 主任研究官 (50746336)
為広 紀正 国立医薬品食品衛生研究所, 生化学部, 協力研究員 (80597881)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | ゲノム編集 / DNA修復 / レポーター細胞 / 細胞周期 / DNA2本鎖切断 / CRISPR |
研究開始時の研究の概要 |
医療分野での安全や利用を目指して,細胞周期に応じて適切なゲノム編集活性を示す「細胞周期制御型CRISPR/Casシステム」を構築するために必要な基盤研究を行う. CRISPR/Cas9による切断によって生じる変異を,細胞周期でどう変化するかをモニター,合わせてその時の配列変化とゲノム全体の変異(総数とhigh impact variantの数など)を解析することで,G1-S-G2-Mの各周期およびG0期で何が起きるかをレポーター細胞を用いて明らかにする. 細胞本来のDNA修復機能に一切の手を加えず,細胞周期ごとに細胞にとって最適な条件でゲノム編集が実行されるシステムの構築を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究課題では、医療分野や農業分野での安全な利用を目指して,細胞周期に応じて適切なゲノム編集活性を示す「細胞周期制御型CRISPR/Casシステム」を構築するために必要な基盤研究を行うものである.修復エラーが多い非相同末端結合修復を阻害し、細胞周期のS~G2/M期への同調が編集効率と精度向上に有効であると考えられているが ,細胞周期の変化が生物自身のゲノムや細胞機能に与える影響はこれまで全く検討されていない。 ヒト細胞(RPE-1)を用いて、CRISPR/CasによりDNA2本鎖誘導の過程で起きる現象について、各細胞周期で誘導するすべての変異と遺伝子発現変化を解析することで,各細胞周期で最適な条件でゲノム編集を実行できるシステムの確立を行う.すなわち、細胞自身のDNA修復機能に手を加えず,最適な細胞周期条件でゲノム編集が実行されるシステム構築を行うものである.1年目は、DNA2本鎖切断後の欠失が生じた細胞を蛍光検出できる、レポーター細胞構築のためのベクターコンストラクトを、蛍光タンパク発現をTet-on制御下で出来るようにした上で、ヒトゲノムの異なる標的部位に挿入できるように設計した。ヒト2倍体ゲノムのそれぞれのアレルをEmerald, または、Scarletで検出するためのドナーベクター作製を行った。 2年目は、RPE-1細胞へ設計したドナーベクターを遺伝子導入してクローン化により樹立を行った。TK1 locusおよびAAVSへの導入を行ったところ、TK1 locusにemeraldを持つコンストラクト1コピー導入された細胞を樹立することが出来た。樹立した細胞について、導入配列を確認後、tet-onの作動性、細胞機能の野生型との違いのないことを確認して、現在、CRISPR/Cas9でDNA2本鎖した細胞をFACS解析出来るようにアッセイ系を構築している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レポーター細胞樹立のために、あらゆる場面を想定して多くの導入コンストラクトを作成して選抜したので、細胞樹立までの時間が当初予定よりも長い時間必要であったが、むしろ、理想的な細胞をじぃリツすることが可能であった。そのため、今後は、樹立細胞を使用して、DNA2本鎖誘導を細胞周期ごとに行ってFACS解析するという、流れ作業とゲノム解析になる。今後は順調に進行できることが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、樹立細胞を使用して、DNA2本鎖誘導を細胞周期ごとに行ってFACS解析するという、流れ作業とゲノム解析になる。 蛍光は消失した細胞をFACSで定量することになる。従って、より少ないであろう細胞群(DNA2本鎖されて大きな欠失から蛍光が消失した細胞)を検出する必要性から、解析に必要な最低細胞数や、ソーティング、及びゲノム解析を行う計画である。検出の部分で少し試行錯誤が必要かもしれないが、実験自体はスムーズに進行する物と予想される。 本研究では、以前のTK6由来細胞を用いた結果から細胞周期S-G2/M期同調で顕著な意図しない変異抑制が見られたことから、第一に他のヒト細胞で再現性を確認すること、次いで浮遊細胞であるTK6の取扱いにくさを接着細胞RPE-1に変更することで、最終的には哺乳類細胞を用いた遺伝毒性試験への標準化を目指すものである。この観点からも、代表的な変異遺伝物質を用いて比較検討を進めていく。
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