研究課題/領域番号 |
21H02489
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中村 輝 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (90323245)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 生殖細胞 / 生殖顆粒 / 相分離 / ショウジョウバエ / 母性RNA |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生殖顆粒の動態制御に関わる新規因子として同定したSrlとTppの分子機能解明を目指す。Srlは転写コアクチベーターであることから、①生殖顆粒の動態制御におけるSrlの標的遺伝子の同定とそれらの機能解析、ならびに②Srlと共に機能する転写因子の同定の2点を中心に進める。一方、Tppはヌアージに局在することから、③tppを欠く卵巣における生殖顆粒因子の動態解析、④Tppの相互作用分子の同定とそれらの機能解析等を進める。また、⑤機能未知のマウスTppホモログについて、多重ノックアウト系統を作成し、左右相称動物に共通した機能を解析する上での足掛かりとする。
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研究実績の概要 |
ノックダウンにより生殖細胞形成に異常をきたす母性遺伝子として、spargel (srl)を同定した。Srlは転写コアクチベーターであるPGC-1のホモログである。srl-null卵巣においてvasa mRNAの現象が観察されたことから、vasaの強制発現によりsrl-nullの異常が相補されるかを検討した。その結果、生殖質因子のヌアージへの集積は回復したが、生殖質への局在は回復しなかった。srl-null卵巣では、oskar RNAの生殖質領域への局在が低下しOskタンパク質の発現が激減していた。この異常はvasa強制発現では回復しなかった。Srlには機能未知のRNA結合ドメイン(RRM)が存在する。現在、Srlがoskar mRNAを制御している可能性を検討すべく、UAS-SrlΔRRMを作成しsrl-nullの表現型の相補性について検討する予定である。 また、生殖質アッセンブリーにおけるAubergine局在を促進する因子として同定したTppについて、Tpp-APEX2ノックイン系統を作成し、近接因子標識法により相互作用因子候補を探索した。その結果、Tudorドメインを持つCG9925が同定された。EGFPノックイン系統を作成したところ、CG9925とTppがヌアージにおいて共局在していることを確認した。 Tppホモログは左右相称動物で保存されており、配偶子形成過程で発現している。マウスには3つのパラログ(Gtsf1, Gtsf1l, Gtsf2)が存在する。さらに、Gtsf1lの遺伝子重複によって生じた、BC025082.1配列がZfp850の3´ UTR配列中に存在する。機能未知のGtsf1l, Gtsf2, BC025082,1について三重ノックアウト変異体(TKO)を作成した。残念ながら、TKOに異常は検出されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Srl, Tppともあらたな知見が集積しており、研究は概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Srlについて、3xFLAG, 3xTy1タグをノックインした系統を作成済である。今後、卵巣を用いたクロマチン免疫沈降シーケンス(ChIP-seq)解析を行い、Srlの標的遺伝子の同定をめざす。また、Srlと共役する転写因子候補としてEts97Dを同定している。Ets97Dについてもタグをノックインした系統を作成しており、Srlとの相互作用の解析、ChIP-seq解析等を進める予定である。 Tppについては、APEX2による近接因子標識解析をスケールアップして進める予定である。また、tpp変異体におけるsmall RNAの動態解析を進めており、新たな知見が得られることを期待している。 マウスTppホモログのTKOについては、残念ながら表現型異常が確認されなかった。長期間の飼育により、早期に不妊化する等について検討するため、飼育を続けている。
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