研究課題/領域番号 |
21H02506
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
吉田 聡子 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20450421)
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研究分担者 |
白須 賢 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, グループディレクター (20425630)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 寄生植物 / 遺伝学 / 吸器形成 / 植物免疫 / カルシウム / シグナル伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
ストライガなどの寄生植物は、穀物に寄生し甚大な農業被害をもたらすが、その寄生の分子機構はほとんど分かっていない。寄生植物は根にコブ状の「吸器」と呼ばれる寄生器官を形成し、宿主植物の組織に侵入する。吸器の形成は2,6-dimethoxy-p-benzoquinone(DMBQ)などの宿主由来の低分子化合物によって誘導される。私たちは、モデル寄生植物コシオガマから、DMBQ処理による吸器誘導が起こらない変異体lack of haustorium formation 1 (lhf1)を単離した。本研究では、LHF1遺伝子の機能解析により、寄生植物における吸器誘導シグナル伝達系を解明する。
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研究実績の概要 |
本年度は、LHF1タンパク質のドメイン解析と下流因子の解析をおこなった。LHF1タンパク質は既知のC2ドメインとC末端の保存性の高い領域を持っており、これらのドメインに変異を入れ、lhf1変異体の表現型を相補するかどうかを確認することにより機能解析を行った。既知のC2ドメインに変異をいれると機能が失われることがわかったため、C2ドメインがLHF1の機能に重要であることが明らかとなった。また、C末端に蛍光タンパク質を付加させたLHF1は機能を相補できなかったため、C末端の重要性が示唆された。また、C末端の保存領域に変異をいれた場合にもLHF1の機能は失われた。 次に、LHF1下流遺伝子の機能解析をおこなった。RNAseq解析の結果から、特に発現変動が大きかった遺伝子に着目し、lhf1変異体における早い時間での発現パターンをqRT-PCRによって解析した。いくつかの遺伝子は、吸器誘導物質処理後15分以内に発現が上昇するが、lhf1変異体では、発現上昇がみられなくなったため、LHF1が吸器誘導初期に働いていることが明らかとなった。これらの遺伝子の発現抑制ラインの作成および恒常的発現ラインの作成を行なっている。いくつかの遺伝子ではドミナントネガティブ型の過剰発現により吸器誘導が抑制されることが確認され、下流のシグナル因子であると考えられる。 また、シロイヌナズナのLHF1ホモログについて、CRISPRによる変異導入ラインの作成を進めた。ゲノム編集コンストラクトを作成し、形質転換によりT1個体を作成した。しかし、変異が目的遺伝子に入っていなかったため、ベクターを変更して再度作成を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LHF1の重要ドメインを同定し、下流因子の候補が絞れてきた状態である。また、リン酸化サイトの役割も明らかになってきた。シロイヌナズナの変異体の作成を行なっているが、目的変異系統を得ることができなかったため、再作成中である。それ以外の点では当初の予定通り順調に進展しているため、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
LHF1下流タンパク質が同定できてきたが、直接の下流ターゲットであるかが不明であるため、相互作用の確認を行う。また、LHF1の生化学的な機能を大腸菌発現タンパク質を用いて検証する。シロイヌナズナ変異体系統の表現型解析により、LHF1の祖先的な機能の理解を進める。
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