研究課題/領域番号 |
21H02512
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
祢宜 淳太郎 九州大学, 理学研究院, 准教授 (70529099)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 葉緑体 / 孔辺細胞 / 表皮細胞 / 環境応答 / 表皮組織 / 敷石細胞 / 気孔 / 脂質 / 表皮(敷石)細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
植物の表皮組織には、葉肉組織とは異なる葉緑体の存在が示唆されているが、その機能については不明な点が多い。本研究では、気孔葉緑体を環境情報処理の基幹として捉え、そこで外部環境の状況の把握と処理を担う鍵因子の発掘を試みる。また従来、表皮(敷石)細胞は葉緑体を欠くとされてきたが、表皮細胞にも葉緑体が存在することを見出した。表皮細胞が葉緑体を保持する生理学的意義や表皮葉緑体の独自の役割を解明する。
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研究実績の概要 |
気孔の孔辺細胞には葉緑体が存在し、葉肉細胞の葉緑体とは異なる形態的特徴を持っていることが知られているが、その形成メカニズムに関してはほとんど分かっていない。我々は孔辺細胞の脂質代謝系が葉肉細胞とは異なるユニークなものであり、小胞体から葉緑体への脂質輸送が孔辺細胞の葉緑体形成において必須であることを明らかにした (Negi et al., 2018)。このことは、孔辺細胞が器官特異的な葉緑体形成メカニズムを発達させていることを示唆している。本研究では、孔辺細胞の葉緑体形成メカニズムを分子レベルで解明するために、エチルメタンスルホン酸 (EMS) 処理をしたシロイヌナズナのM2植物約10,000個体から、蛍光顕微鏡を用いた順遺伝学的スクリーニングにより孔辺細胞のクロロフィル蛍光が野生型に比べ低下している変異体を複数単離し、achs (achlorophyllous stomata) と命名した。その1つであるachs4 変異体は孔辺細胞特異的な葉緑体形成不全の表現型を示し、光やCO2に対する気孔応答性が損なわれていた。また、その原因遺伝子ACHS4は脂質合成酵素の一種であることを明らかにした。脂質合成機能が孔辺細胞と葉肉細胞の葉緑体形成に及ぼす影響を調べるために、孔辺細胞および葉肉細胞プロトプラストを用いてリピドーム比較解析を行った。その結果、achs4変異体では脂肪酸含量が野生型に比べ減少していた。さらに、脂肪酸から合成されるリン脂質と糖脂質のうち、achs4変異体の孔辺細胞ではリン脂質に比べ、葉緑体形成に必要な糖脂質の含量が低下していた。一方、葉肉細胞では糖脂質に比べリン脂質含量が大きく低下していた。このことは、脂肪酸不足時のリン脂質と糖脂質の合成バランスにおいて、孔辺細胞が葉肉細胞とは異なる優先順位付けをおこなっている可能性を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規の気孔葉緑体変異体を単離し、その原因遺伝子の解析から、孔辺細胞の葉緑体形成および機能化における脂質合成の重要性が明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
孔辺細胞が有する特殊な脂質代謝の維持機構や、葉肉細胞と孔辺細胞それぞれの細胞におけるACHS4タンパク質の機能を明らかにすることで、脂質を介した孔辺細胞独自の葉緑体形成メカニズムに迫りたい。
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