研究課題/領域番号 |
21H02530
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
宮崎 佳代子 沖縄科学技術大学院大学, 神経計算ユニット, グループリーダー (80426577)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
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キーワード | セロトニン / 報酬待機行動 / ファイバーフォトメトリー / 将来報酬 / 確信 |
研究開始時の研究の概要 |
目標のために今は辛抱、という場面で未来を信じてじっとその時を待つか、もうだめだと諦めるのか、こんな意思決定を迫られる場面は日常の中で数多く存在します。私達がこれまでに取り組んできた研究から、将来の報酬をじっと待つ辛抱強さを促す重要な神経伝達物質がセロトニンであることが分かってきました。 このセロトニン神経に着目し、広範囲に分布する脳内のどの領域で、どのように活動することでこの辛抱強さが生じるのかを詳細に調べていきます。本研究では特に「うまくいくと信じることでより辛抱強くなれる(心が変われば行動が変わる)」その神経メカニズムに迫ります。
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研究実績の概要 |
申請者はこれまでの研究から、不確実な将来報酬を待つ間に背側縫線核セロトニン神経活動を活性化させることで、報酬が得られる内的な確信が高まる=こころに「楽観」が生じ、その結果マウスがより待てるようになるのではないかと考えている。セロトニンは「将来報酬の内的な確信度をコードする」という新たな仮説として、本研究でこの神経メカニズムの解明を目指す。 これまでに取り組んだファイバーフォトメトリーの手法を用いた背側縫線核セロトニン神経活動記録から、セロトニン神経活動が実際に将来報酬確率に応じて活動を変化させることが示された。この仮説を十分に支持する重要な成果と言える。この結果を軸として前頭眼窩野および前頭前野での神経活動記録を今後も進める。 変化する環境の中で待つ行動が報酬に結び付く場合、時間的な辛抱強さが獲得のカギとなるが、セロトニン神経はどのようなダイナミクスでこれを制御するのか? そのメカニズムに迫る本研究は、これまで謎が多いとされてきたセロトニンが私たちの心と行動にどのように関わるのかを知る上で重要な手掛かりとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実験装置の改良や使用する遺伝子改変マウスの変更によって神経活動をよりクリアに記録できるようになったこと。順調に実験が進み、現在結果を論文にまとめる作業を行っていること。
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今後の研究の推進方策 |
投射先でのセロトニン神経活動記録の継続 遅延報酬待機課題における前頭眼窩野と内側前頭前野それぞれに投射するセロトニン神経は異なる出力をしている可能性が示唆される。実験では遺伝子改変マウスの前頭眼窩野と内側前頭前野にそれぞれ光ファイバーを埋め込み、各脳領域での活動表現の違いについて調べる。神経活動シグナルをよりクリアに検出するための改良を進め、本年度も引き続き実験を行う。また今年度新たな試みとして他大学との共同で軸索標的型のGCaMPを導入し投射先脳領域の神経活動記録を行うことを予定している。
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