研究課題/領域番号 |
21H02532
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45010:遺伝学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
杉 拓磨 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 准教授 (70571305)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
|
キーワード | 線虫 / 集団行動 / 状態転移 / 線虫C. elegans / 神経回路 |
研究開始時の研究の概要 |
行動遺伝学分野では古くから1個体レベルを対象に行動と遺伝子の関係について解析がなされてきた. 一方, 自然界では個体は単独で存在するとともに, 他の個体と相互作用し自己組織的に集団で生存・繁殖を可能にする現象にありふれ, 一部は創発現象として多くの人を魅了する. しかし集団レベルの行動が遺伝子や神経系とどのように関連づけられるかについては未解明な点が多い. 本研究では行動遺伝学的手法と独自のイメージング技術により, 集団と単独時における線虫の分子神経機構の違いを比較解析し, 集団の静から動への状態転移機構を解明することを目的とする.
|
研究成果の概要 |
本研究では、湿度上昇に対し、秩序パターンが崩壊し、最終的に大部分の線虫が運動を停止した凝集塊を作ることを見出した。この凝集塊の観察を続けると、静止した線虫集団が無秩序に運動を再開するのではなく、数秒のうちに一斉に運動状態へ転ずる現象が再現よく観察された。この集団全体が静から動へ転移する様子は、ミツバチが外敵に対して行うシマリングという威嚇行動や鳥の群れの外敵に対する水面からの羽ばたきなど自然界で多く見られる時間軸上の自己組織化現象である。これらでは通常、集団全体として外部刺激に反応しやすい臨界状態に近いことが知られる。したがって、本状態転移の分子神経機構の一端を本研究にて明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
集団の振る舞いが最も多様かつ複雑で魅力的な個体集団レベルでは、行動遺伝学的解析が可能なモデル動物の集団の実験系に乏しく、秩序生成機構の理解を妨げてきた。ランダムに振る舞うミクロな要素は、相互作用して自己組織的にマクロな秩序を生み出すことにより単独の要素とは異なる振る舞いを示す。これまで自己組織化メカニズムに関しては、拡散する情報伝達因子に焦点が当てられてきた。しかし多様かつ複雑な個体集団の自己組織的現象については未解明な点が多く、自然科学の多くの分野に共通する核心的な問いであることから、本研究は波及効果は高いと考えられる。
|