研究課題/領域番号 |
21H02537
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
土畑 重人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50714995)
|
研究分担者 |
北條 賢 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (70722122)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
|
キーワード | 階層性進化 / 社会性昆虫 / ゲノミクス / 比較ゲノミクス / 種内寄生 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では,多細胞性や真社会性など生物界にみられる高度な複雑性の進化的駆動力となった「階層性の進化」に焦点を当てる.下位階層で生じる種内寄生が上位階層の統合性の強化に積極的な役割を果たしたとする仮説を立て,種内寄生が存在する社会性昆虫アミメアリを用いた実証研究を展開する.寄生系統と通常系統の比較オミクス解析,寄生への対抗戦略としての巣仲間識別の行動解析を行い,社会性昆虫の女王カースト分化の分子基盤や,生物階層を超えた生命の共通原理の深い理解を目指す.
|
研究成果の概要 |
本課題では,生物階層を超えた階層性進化の共通原理への洞察を得るために,階層性の典型例である社会性昆虫の一種アミメアリと,そこに生じた種内社会寄生者を用いた実証研究を展開した.社会寄生・通常系統の高精度レファレンスゲノムの取得,遺伝子発現の系統間比較,コロニー階層の統合性として巣仲間識別行動の解析を行った.その結果,社会寄生系統は祖先種の女王形質を転用していることが示唆され,またかれらの他コロニー侵入時には,侵入先コロニーは一般的な巣仲間識別行動で侵入を排除すること,などが判明した.これらの成果は,社会システムの進化的維持機構,階級分化の分子基盤を解明するための基盤情報になると期待される.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究が対象とした社会寄生現象の進化は,社会性昆虫の事例研究にとどまらず,生物の社会システムの起源・維持に関して,生物階層を問わない一般性を持ちうるものである.例えば,微生物集団のふるまいや,がん細胞の小進化プロセス,さらに人間社会の進化史的な成立においても,社会寄生者の問題は存在する.社会性昆虫の研究に絞っても,社会寄生系統は,野外で進化した「女王変異体」とみなすことが可能であるため,通常は表現型可塑性で生じる社会性昆虫の階級分化の分子メカニズムの理解に,新たなアプローチを与えることが期待される.
|