研究課題
基盤研究(B)
多数の植物ゲノムを解読した結果として、進化の過程で遺伝子喪失が想像以上に多様な系統で独立におきていることがわかって来た。例えば、YABBY遺伝子はツノゴケでは維持されているが少なくとも3回喪失されている。LFYについても多くの場合1遺伝子しか持たないがセン類とタイ類で異なるパラログが残っている可能性がある。本研究では、YABBY遺伝子、LEAFY遺伝子の機能をツノゴケ、ミカヅキモ、シャジクモで解析し、陸上植物の共通祖先がどのようなものであったのかについて推定像を打ち立てたい。
シャジクモ形質転換系の確立を目指して、パーティクルガンによる遺伝子導入系において、新たなシャジクモの内生プロモーター、ターミネーターの組み合わせを同定し、パーティクルガンによる遺伝子導入は再現性があることを確認した。アグロバクテリウムを用いた形質転換体の作出も試みたが、成功には至っていない。シャジクモLEAFY遺伝子につき、概要ゲノムとRNA-seqに基づき推定されたコード領域全長を含むcDNAをクローニングした。想定では2種類のisoformが予想されていたが片方のみが増幅でき、特異的プライマーを使っても増幅できないことから、クローニングできたcDNAが主要なmRNAに対応すると考えた。このシャジクモLFY遺伝子の器官・発生段階毎(生殖器官成熟前期、生殖器官成熟後期、造精器、生卵器、接合子の5種類)の発現様式をRT-qPCRにより確認した。さらに、シャジクモLFY遺伝子をナガサキツノゴケに導入して過剰発現株の作出を進めている。ナガサキツノゴケにおいてゲノム編集を実現するために、ゼニゴケのためのCRISPR-Cas9系のためのプラスミドのCas9誘導プロモーターをツノゴケのEFプロモーターへ、sgRNA誘導のためのプロモーターをツノゴケU6遺伝子の5'隣接配列に置き換えたプラスミドを作製した。これを用いて、既存のGFP発現株のGFPコード配列のゲノム編集を試みたが成功していない。また、昨年度作製した過剰発現株作製用のプラスミドを用いて、ナガサキツノゴケKNOX2遺伝子及びBELL遺伝子の過剰発現株を作製したところ、いずれも胞子体が短くなるという表現型を示した。ヒメミカヅキモYABBY遺伝子の破壊をNIES-68株で試み遺伝子破壊されている可能性が高い候補株2株を得た。そのクローン化とともにNIES-67株での遺伝子破壊が進行中である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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