研究課題/領域番号 |
21H02553
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 北海道大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
山田 敏弘 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70392537)
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研究分担者 |
中村 英人 北海道大学, 理学研究院, 助教 (00785123)
小松 俊文 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (40336201)
藤浪 理恵子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (40580725)
LEGRAND Julien 静岡大学, 理学部, 助教 (60737534)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 小葉類 / ヒカゲノカズラ / 根の起源 / 根 / 担根体 / 光合成 / デボン紀 / シルル紀 / 根冠 / 根圏 |
研究開始時の研究の概要 |
植物はデボン紀に競って根を進化させたが,根の進化過程は長らく不明だった。本研究では,地下茎でオーキシン濃度が増加した結果,根冠を持つ根が起源したという仮説を,生理実験と遺伝子発現解析によって検証する。一方,現生植物の根には水や養分の吸収に不可欠な根圏が形成されている。本研究ではシルル紀のヒカゲノカズラ科の地下茎が“根圏”を持っていたことを分子化石から証明する。本研究の結果,植物学の積年の難問「根の起源」が初めて解明される。
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研究成果の概要 |
本研究では「小葉類の根は根冠を獲得した地下茎である」という仮説を検証した。まず、現生ヒカゲノカズラの発生学的特徴を観察し、初生根が茎の分枝部付近に生じること、初生根が葉緑体を持つこと、を明らかにした。また、初生根が複数回分枝して生じた後生根は、初生根と組織学的特徴や細胞の分裂動態が異なることがわかった。これらの結果は、初生根と茎との相同性を支持した。さらにベトナム北部や日本のシルル紀からデボン紀の地層において、”根幹のない最古の根”を探索した。ベトナムではアジア最古の植物化石群、日本では日本最古の植物化石群を発見したが、、”根幹のない最古の根”の発見には至らなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
すべての植物は根を持つが、根がどのように起源したのかは長らく謎だった。私たちは、植物の中で最初に根を獲得した小葉類に着目し、それら根が地下茎と相同であることを初めて明らかにした。また、ヒカゲノカズラの根は分枝するにつれ、茎的性質を徐々に失い、根としての性質を確立することを明らかにした。つまり、小葉類は、他の植物とは異なり、根と茎との中間的器官を保持していることになる。この成果は、現生小葉類が他の植物とは異なる体制を持つことを示す点で、驚くべきものである。一方、日本最古の植物化石群の発見は研究の副産物的なものであるが、日本の植物史の理解に大きく貢献した。
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