研究課題/領域番号 |
21H02571
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45050:自然人類学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中山 一大 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (90433581)
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研究分担者 |
斉藤 昌之 北海道大学, 獣医学研究院, 名誉教授 (80036441)
西村 貴孝 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80713148)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 熱産生 / 褐色脂肪組織 / ヒト / 寒冷適応 / 飢餓適応 / ゲノム多型 / ヒトゲノム多様性 / 熱産生能力 / 東アジア人 / 環境適応 / ゲノム / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトは、高緯度地域に進出した際に低温環境への遺伝的適応を果たしたと考えられている。この遺伝的適応には褐色脂肪組織が関与していたことが支持されている。さらに、褐色脂肪組織による熱産生は、感染症、飢餓、社会ストレス等への適応現象にも寄与していることも明らかになっており、ヒトの熱産生能力の多様化が、寒冷適応のみならず、拡散に伴う社会構造の変化等とも密接に関わっている可能性が浮上してきた。東アジア人を対象とした全ゲノム規模の多型情報による進化遺伝学解析とヒト個体を対象とした詳細な生理実験、そして遺伝型-表現型関連解析を通して、ヒトの熱産生能力の多様化に遺伝的適応が関与した証拠を発見する。
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研究成果の概要 |
ヒトの体にはエネルギーを熱に変換する機能か備わっている。その機能は外界の温度変化、感染症や飢餓などといった様々なストレスへの応答と密接に関わっている。さらに、ヒトの熱産生能力には大きな個人差・集団差が存在することが明らかになりつつある。本課題では、このヒトの熱産生能力の個人差が生じた進化的な背景を明らかにすることを最終的な目標として、代表的な熱産生器官である褐色脂肪組織の活性の個人差に関わるゲノム領域の同定を試み、複数の手法で褐色脂肪組織活性を測定した一般成人のゲノム試料を収集した。それを用いた一連の解析から、熱産生多様性に関わる新規の遺伝子座を世界に先駆けて同定することに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本課題では、これまで謎に包まれていた褐色脂肪組織活性の個人差に寄与する遺伝子の一部が明らかにすることに成功した。さらにこれらの遺伝子の進化パターン等の解析から、ヒトの進化において寒冷、飢餓、感染症等のストレスへの多面的な適応が共通の熱産生遺伝子によって制御されている可能性が明るみなった。褐色脂肪組織による熱産生は、全身のエネルギー代謝を亢進することで肥満や2型糖尿病に抵抗的にはたらくことが期待されている。したがって、これらの成果は、ヒトの適応進化史の解明のみならず、各種生活習慣病の新たな予防・治療戦略の創出にも寄与できるだろう。
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