研究課題/領域番号 |
21H02593
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
奥山 輝大 東京大学, 定量生命科学研究所, 准教授 (80625955)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | 社会性記憶 / 海馬腹側CA1ニューロン / 性 / 行動神経科学 / 神経生理学 |
研究開始時の研究の概要 |
社会を形成する動物は、集団内の同種他個体を記憶し(社会性記憶)、そのそれぞれに対して適切な行動を選択することで適応的に生活している。例えば、多くの動物種のオス個体は、見知らぬ同性のオス個体に対しては攻撃行動を、一方で、見知った異性のメス個体に対しては配偶行動や協調行動を示す。しかしながら、脳内において、記憶している個体についての「オスとメス」というプロパティ情報が、どのように表象されているのかについては、ほとんど明らかになっていない。本研究では、海馬ニューロンの神経活動に主眼を置きながら、オスとメスの記憶がどのように表象されているのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
今日の社会記憶研究の多くは、オスマウスが既知のオスに比べて新奇なオスに対してより多くの社会行動を示す習性を利用している。しかしながら、オスマウスにとってメスは生得的に報酬性の高い刺激であることから、記憶の有無による社会行動の調節が十分に行われず、メスに関する社会記憶に寄与する神経メカニズムを明らかにする研究は十分な発展が得られずにいた。そのような現状において、オスマウスの性行動の1つである超音波発声に注目し、オスマウスが記憶に依存した社会行動の調節を示す行動実験系の立ち上げに成功、オスマウスが新規なメスに比べ既知のメスに対してより少なく行われることを明らかにした。さらに、そのような記憶に依存した超音波発声の減少は、数分で記憶したのちに短いインターバルを挟んでメスと再会する短時間記憶課題と2時間で記憶したのちに長いインターバルを挟んで再会する長時間記憶課題の両者において観測されることを見出した。側坐核(NAc)におけるCaMK2陽性細胞(NAc-CaMK2)、Drd1陽性細胞(NAc-Drd1)、およびDrd2陽性細胞(NAc-Drd2)の活性を抑制するとともに、メスを用いた短時間または長期時間記憶課題を行うことで、NAc-CaMK2は短時間および長時間記憶課題のいずれにも寄与しておらず、NAc-Drd1およびNAc-Drd2は長時間記憶課題の記憶に依存した超音波発声の減少に関与することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記の記載の通り、当初の計画以上の速度で行動実験系の立ち上げ、および、標的神経細胞の絞り込みに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
海馬腹側CA1ニューロン、および、側坐核ニューロンを中心に神経生理学的解析を深める。
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