研究課題/領域番号 |
21H02600
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
吉村 由美子 生理学研究所, 基盤神経科学研究領域, 教授 (10291907)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
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キーワード | 大脳皮質視覚野 / 興奮性神経結合 / 視覚反応選択性 / 経験依存的発達 / 細胞系譜依存性 / 興奮性シナプス結合 / 興奮性ニューロン |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに、発生期の大脳皮質において同じ神経前駆細胞から生まれた興奮性細胞ペア(クローン細胞ペア)は生後に選択的にシナプス結合すること、視覚野においてはクローン細胞ペアの視覚反応が類似することが報告されている。本研究では、マウス視覚野を対象に、クローン細胞間の神経結合と視覚反応類似性の生後発達過程を調べ、その成熟に生後の視覚体験が必要であるかを明らかにする。この解析により、大脳皮質の機能発達における遺伝的メカニズムと経験依存的メカニズムのそれぞれの役割およびその相互作用に関する新たな知見を得て、大脳皮質の機能発達メカニズムの解明に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究では、大脳皮質の中でも、感覚入力を操作しやすく、シナプス可塑性や感覚反応の経験依存的発達に関する知見が蓄積されている一次視覚野をモデルに、発生期の細胞系譜と生後の感覚経験のそれぞれに依存したメカニズムが神経回路構築と機能発達にどのように働くかを明らかにすることを目的とする。昨年度までに、興奮性ニューロン特異的なプロモータ制御下で赤色蛍光蛋白(RFP)を発現するiPS細胞を用いて、大脳皮質興奮性ニューロンの細胞系譜を効率よく可視化できるキメラマウスを作成した。本年度は、このキメラマウスから大脳皮質一次視覚野を含む脳スライス標本を作製し、ホールセルパッチクランプ法を用いてシナプス結合の機能解析を行った。蛍光顕微鏡観察により、スライス標本上のRFP陽性ニューロンを同定した後、微分干渉顕微鏡像に切り替えて、RFP陽性の興奮性ニューロンペア(クローン細胞ペア)あるいはRFP陽性と陰性の興奮性ニューロンペア(非クローン細胞ペア)から同時にホールセルパッチクランプ記録を行った。記録した細胞ペアの興奮性神経結合の有無を、片方の興奮性ニューロンに脱分極通電して活動電位を発生させると、相手の興奮性ニューロンに興奮性シナプス後電流(EPSC)が生じるかにより調べた。2/3層内に分布する興奮性ニューロンを中心に解析したところ、クローン細胞ペアは非クローン細胞ペアに比べて興奮性シナプスを形成する確率が高い結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大脳皮質興奮性ニューロンの細胞系譜を効率よく蛍光標識し、ホールセル記録法によるシナプス結合解析を実施した。細胞系譜依存的な結合特異性を示す結果が得られたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
大脳皮質視覚野の興奮性ニューロンにみられる細胞系譜特異的な興奮性神経回路解析をさらに進めるとともに、その形成に生後の感覚体験が必要かどうかを明らかにする実験を進める。
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