研究課題/領域番号 |
21H02611
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
古田 巧 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30336656)
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研究分担者 |
小林 祐輔 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (90509275)
浜田 翔平 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (00833170)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | カルコゲン結合 / 配座制御 / ロジウム二核錯体 / ウレア / 有機分子触媒 / 遷移金属触媒 / 構造制御 / 分子認識 / ロジウム / C-H 挿入反応 / 軸性不斉 / テトレル結合 |
研究開始時の研究の概要 |
カルコゲン結合は、カルコゲン元素とヘテロ原子との間に働く非共有結合性の相互作用である。水素結合に匹敵する分子間力を持ち、有機分子の構造を制御する要因となることは知られていたが、触媒構造の制御には活用されてこなかった。本研究は、このカルコゲン結合を触媒構造を制御する分子間力として活用する新たな触媒設計指針の確立を目的に実施する。さらに、カルコゲン結合を駆動力とする基質認識部を配した分子認識型触媒の創製も行う。
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研究実績の概要 |
カルコゲン結合は、カルコゲン元素とヘテロ原子との間に働く非共有結合性の相互作用である。当研究室では、縮環構造内に硫黄原子を導入したロジウム二核錯体を合成し、分子内 C-H 挿入反応を高い立体選択性で触媒することを見出している。本錯体では、カルボキシラート部、およびアミド部の硫黄-酸素原子間に複数のカルコゲン結合を形成しており、優れた不斉誘起の主要因であると示唆された。中でもそのアミド基は、1,5-型のカルコゲン結合で配座固定され、不斉空間を拡張していることが判明した.今年度は、この 1,5-型のカルコゲン結合をウレアに展開し、カルボニル基の両側にカルコゲン結合が形成されることで、その構造制御が可能か検証した。さらに、配座制御されたウレアの酸性度など物性も評価した。 1)二重のカルコゲン結合により構造制御されたウレアの合成と立体構造 酸素、硫黄、あるいはセレンを有するベンゾカルコゲノファンカルボン酸を酸アジドに変換し、クルチウス転位を伴う二量化反応によりウレアを合成した。これらの誘導体の X 線結晶構造解析から、酸素を持つベンゾフラン誘導体では、カルボニル酸素とベンゾフランの酸素原子が互い違いに配置しており、カルコゲン結合は形成されないことがわかった。一方、ベンゾチオフェン誘導体やベンゾセレノフェン誘導体では、カルコゲン結合がカルボニル酸素の両側に形成され、X…O…X (X = S, Se) が直線状に並び、かつ平面性の高い立体構造に制御されることを明らかにした。 2)二重のカルコゲン結合で構造制御されたウレアの酸性度 ウレアの N-H 基の酸性は、有機分子触媒としての機能の根源となる重要な物性である。カルコゲン元素を持つウレアの pKa を実測したところ、ベンゾセレノフェン誘導体が最も強い酸性を示すことが明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、カルコゲン結合がウレアの立体構造や触媒活性に与える影響を精査することを目的に研究を実施した。その結果、当初の計画通り硫黄とセレンを有するウレア誘導体の合成を達成し、DFT 計算(NBO 解析)によりカルコゲン結合の評価を行うことが出来た。さらに、カルコゲン結合によりウレアの酸性度が上昇することも明らかにするなど、触媒としての応用研究に向けた足掛かりを得ることができた。そのため、本研究の進捗状況は「おおむね順調に進行している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の検討で、カルコゲン結合がウレアの構造制御に有効なことを明らかにすることができた。今後は、カルコゲン結合で配座制御されたウレア型有機分子触媒および遷移金属触媒の創製に展開する。またカルコゲン元素を持つロジウム二核錯体触媒の創製研究も継続し、生物活性物質の位置選択的アルキル化、酸化、C-H 官能基化などを検討する。
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