研究課題/領域番号 |
21H02615
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松崎 勝巳 京都大学, 薬学研究科, 教授 (00201773)
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研究分担者 |
河野 健一 京都大学, 薬学研究科, 助教 (70732874)
星野 忠次 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (90257220)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | アルツハイマー病 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病(AD)の病因は、アミロイドβタンパク質(Aβ)の異常凝集に伴う神経変性である。本研究では、Aβの産生制御機構、神経細胞膜上でのAβの凝集・沈着に伴う構造変化、毒性発現を生細胞中で分光学的にモニターするとともに、その知見に基づき、in silicoアプローチも活用し、ADの予防薬・疾患修飾薬のシーズを創出する。特に現在の先制医療の考え方に基づき、Aβ凝集・沈着を検出した時点から投与しても、凝集進行抑制、神経細胞保護効果のある薬剤の探索を行う。
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研究実績の概要 |
1)FTIR-ATR法を用いて、Aβ42がSH-SY5Y細胞上でつくるアミロイド線維が逆平行βシート構造を有することが明らかとなった。また、この構造は60時間の間、ほとんど変化しなかった。 2)Aβ40の水中線維と細胞膜中線維をCongo redで染色し、その蛍光スペクトルを取得したが、両者で違いは見られなかったことから、本色素での両線維の区別はできないことが分かった。また、Curcumin染色も試みたが、細胞膜の非特異的な染色が見られたため、本色素も使用不可であった。 3)Aβ40の2残基ずれの逆平行βシート構造をクロスリンクにより調製したが、顕著な細胞毒性は見られなかったことから、in-resister平行βシート構造との共存が毒性に重要であると考えられる。 4)細胞膜上での2種のAβ(40および42)が共存するときのAβ凝集挙動を蛍光標識Aβを用い、蛍光相関分光法で調べたところ、一方のAβの凝集は他方の存在にあまり影響を受けなかったことからAβ40と42は、独立して凝集すると予想される。 5)細胞膜中線維→水中線維の構造変化評価系構築のため、細胞膜中線維を単離することに成功した。 6)商用の化合物データベース(473万エントリー)を用いて、Aβ40に結合する化合物の計算機スクリーニングを実施した。このスクリーニングで見出した化合物数種が細胞上でのAβ線維形成と細胞死を阻害できるかを検討したところ、細胞死を抑制する化合物を見出した。また、これまでの研究で得られたヒット化合物の類似化合物の探索を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞膜中線維の単離に成功し、構造変化解析の準備ができ、また、Aβによる細胞死を抑制する化合物を見出せたため。
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今後の研究の推進方策 |
1)単離した細胞膜中線維をseedとして、線維伸長を行い、構造変化を解析する。 2)見出したAβによる細胞死を抑制する化合物について、用量依存性、作用機序などを詳細に検討する。 3)商用の化合物データベースからの大規模スクリーニングの研究を進め、溶解性などの物性から、薬物として有望な化合物を絞り込む。 4)APPのモノマーーダイマー平衡を制御している因子を明らかにする。
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