研究課題
基盤研究(B)
本研究は、これまでの予備知見とPG受容体の結晶構造を基に、リガンドの負電荷COOHと受容体の正電荷Arg間のイオン結合が、安定的結合と二量体化を引き起こし、これがG蛋白質非依存性のβ-arrestin活性化やヘテロ会合受容体を活性化することを示し、脂肪酸リガンドに保存された受容体活性化機構の理解をめざす。計画としては、EP4受容体、EP3受容体、FP受容体で、PGカルボン酸フリー/メチル体が受容体二量体化に効力差があることを示し、リガンド-受容体間塩橋形成の寄与を調べる。PG受容体による炎症をメチルリガンドが回避することを示し、バイアス型作動薬や持続性作動薬の創出などに貢献する。
これまでの研究結果に基づき、プロスタグランジン(PG)受容体のβ-arrestin活性化やヘテロ活性化には、塩橋形成による安定的結合と二量体化が必要であるとの仮説を立てた。すなわち、①PGは受容体に膜側面から結合してintrinsic G蛋白質を活性化する。②PGカルボン酸は、TM7のArg(R)残基とのイオン結合で安定的結合を形成する。③活性化PG受容体は、膜リン脂質との相互作用により二量体化し、出入口を塞ぐためさらに長期結合が保たれる。④長期の結合はGRKによるC末端リン酸化ならびにβ-arrestin活性化を促す。また活性化したPG受容体は、リン脂質を介して会合受容体の共役G蛋白質を活性化する。本研究課題では本仮説を検証することで、脂質受容体の活性化変換におけるイオン結合と二量体化の意義を解明し、PGによる悪玉作用のみを標的としたバイアス型作動薬の創成に繋げることを目的として開始し、以下の結果をえた。ヒトPG受容体EP4によるGs活性化は、カルボン酸メチル体やTM7のRQ変異体でも認められ、イオン結合なしでも遂行された。一方、β-arrestin活性化は、カルボン酸メチル体リガンドやRQ変異体では見られず、またRQ変異体では二量体化の効率も低下傾向を示した。現在、その分子機構を探るため、カルボン酸フリー体とメチル体リガンドで、EP4受容体への会合・解離速度を調べたところ、メチル体は解離速度が著しく亢進していた。現在、本解析結果を基盤とし、EP3受容体によるヘテロG蛋白質活性化を解析中である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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