研究課題/領域番号 |
21H02647
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
家入 一郎 九州大学, 大学病院, 大学院担当教授 (60253473)
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研究分担者 |
廣田 豪 九州大学, 大学病院, 副薬剤部長 (80423573)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | miRNA / 臓器特異的 / 薬物トランスポーター / 生活習慣病 / 体内動態変動 / 薬効動態変動 |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝子発現干渉作用を持つmiRNAに注目する。主要臓器における薬物動態関連遺伝子やタンパク質は諸疾患時にその発現量や発現パターンが変化し、薬物体内動態や薬効動態(PK/PD)の変動を伴う。この変化を臓器特異的に体液中に放出されるエクソゾーム中に内包されるmiRNAの定性・定量から説明・予測し、機序解明並びに活用を目指す。免疫沈降法を応用した臓器特異的(小腸、肝、腎)なエクソゾーム抽出に成功しており、今回、血液脳関門(BBB)を加える。疾患には3大成人病、糖尿病、高脂血症、高血圧を取り上げる。本課題は、疾患に伴うPK/PD の変動解明のみならずmiRNA を介した臓器間相互作用解明にも繋がる。
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研究実績の概要 |
多数の国民に対して、生活習慣病への薬物治療がなされているにも関わらず、生活習慣病による薬物動態の変動機構については不明のままである。また、疾患によりmicroRNA(miRNA)が発現変動することは、報告されてきたが薬物動態への関与については明らかとなっていない。前年度の研究により、我々は高濃度グルコース曝露によりmiRNAが発現変動し、当該miRNA発現量は細胞外exosome内miRNA量に反映されることや、薬物トランスポーターのタンパク質発現に及ぼす影響を明らかとしてきた。本年度は、その詳細なメカニズムについて検討した。高濃度グルコース条件下で発現変動するmiRNAのうち、複数のmiRNAが共通の薬物トランスポーターを標的としていることから、当該薬物トランスポーターのタンパク質の定量を行った。その結果、低濃度グルコース条件下で培養した場合と比較して、高濃度グルコース条件下でカチオン性薬物を基質薬物とすることが知られている薬物トランスポーターのタンパク質発現量が増加していた。詳細な機構を明らかとするため、薬物トランスポーターの3’UTRを用いたルシフェラーゼアッセイを行った。その結果、miRNAは3’UTRを介した翻訳抑制により、薬物トランスポーターのタンパク質発現量を増加させることが示唆された。発現の増加を認めた薬物トランスポーターは、糖尿病治療薬を基質薬物とするトランスポーターであるが知られていることから、糖尿病の薬物治療に対する影響が想定される。これら、変動miRNAは細胞外exosome内においても同様の変動を認めたことから、血液中・尿中exosome内miRNA解析も合わせて解析を行った。これまでの検討で、体液中exosomeからmiRNAを複数同定したことから、高血糖時のmiRNA発現変動に関して体液中exosomeを用いた検討へと展開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づき、高血糖時に変動するmiRNAの特定を進めてきた。その結果、多数のmiRNAの発現変動を検出した一方で、それらのmiRNAの発現変動が、機能的に重要な影響を及ぼす薬物動態関連遺伝子は限定的であった。しかしながら、腎に主に発現する薬物トランスポーターのタンパク質発現量を上昇させる機能を示し、さらに当該トランスポーターは糖尿病薬を基質薬物とすることから、今後は当該miRNAを薬物動態変動の指標となるバイオマーカーとするべく、体液中exosome内のmiRNA発現解析を進めていく計画である。また、高血糖のみならず幅広い生活習慣病についても検討すすめるべく、高濃度の尿酸曝露など他の疾患を想定した検討も進めており、更なる研究の展開が期待できる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度までに、高血糖時に発現低下するmiRNAを特定し、当該miRNAの影響により発現上昇する薬物トランスポーターを明らかにした上で制御機構の特定を行った。次年度以降は、当初の研究目的に沿って臓器特異的な解析を実現するための検討と、より広範な生活習慣病における検討へと展開していく方策であり、以下の2点を主に実施する。 1.腎における薬物動態関連遺伝子の機能変化について、推測可能とするバイオマーカー確立に向けて、尿中exosomeの分離と当該exosome内のmiRNAの定量を実施する。 2.高尿酸血症モデルラットの腎臓において、薬物動態関連遺伝子の発現変動が報告されている。これまでの高血糖に加えて、高尿酸を対象とした検討を腎における薬物動態関連遺伝子を対象として解析を実施する。
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