研究課題/領域番号 |
21H02649
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大槻 純男 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (60323036)
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研究分担者 |
伊藤 慎悟 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (20466535)
増田 豪 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (70383940)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 血液脳関門 / 膜輸送 / 内在化 / DDS / 脳関門 / 脳毛細血管 |
研究開始時の研究の概要 |
血液脳関門の膜介在型経細胞輸送は、中高分子の中枢DDSの標的として注目されている。しかし、応用性の広い膜吸着介在性トランスサイトーシスや透過方向性を規定する分泌過程の機構は不明である。本研究では新規知見を基盤とし血液脳関門の膜吸着介在性トランスサイトーシス及び分泌過程に関わる分子機構を解明し、新たな分子機構を統合し膜介在型経細胞輸送制御による中枢DDSの機能の促進を試みる。以上の知見は中枢DDSの開発と機能向上だけでなく、中枢維持機構としての血液脳関門輸送の新規生理機能の理解に重要である。
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研究実績の概要 |
前年度にPodocalyxin (PODXL)をノックダウンしたhCMEC/D3細胞を作成した。さらに、内在化過程を含む細胞内輸送にノックダウンが影響している可能性を見出した。そこで、さらに詳細な細胞膜動態を含む影響を解析するために細胞分画を行い、調製した細胞質画分と膜画分を高感度質量分析によりプロテオーム変化を解析した。得られた質量分析データをタンパク質発現データにデータ処理し、コントロール細胞とノックダウン細胞間で発現量の比較解析を行い、得られたデータに対してgene ontology解析やpathway解析等のインフォマティクスを実施した。その結果、細胞内在化や細胞内輸送に関わるタンパク質の変動が示唆される解析結果を得た。さらに、薬物動態に重要なABCトランスポーターの発現がPODXL-KD D3細胞では発現が誘導されている興味深い結果を得た。ABCB1/MDR1に関してはPODXL-KD D3細胞では排出活性についても誘導されていることを明らかにした。また、内在化活性に対する日内変動の可能性を検証するために、マウス脳毛細血管のプロテオームの日内変動を検討した。その結果、脳内への輸送に関わるインスリン受容体やトランスフェリン受容体の発現に日内変動は認められなかった。さらに、新規内在化の候補分子を同定するために、脳毛細血管およびその内皮細胞の高深度プロテオーム解析を開始した。単離ヒト脳毛細血管および2種のヒト脳毛細血管内皮細胞株について高深度プロテオーム解析とRNA-seq解析を実施し、その発現量を比較した結果、sample間の発現変動倍率にはタンパク質レベルと遺伝子レベルで相関は認められなかった。プロテオーム解析では各サンプルにおいて約7900タンパク質の発現データを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りノックダウン細胞を作成し、各種解析を実行した。前年度、PODXLに関しては、TATの取込みに関して当初予定とは異なり取込みの低下が認められなかったため、今年度はプロテオーム解析による網羅的な検討を実施した。その結果、予想していなかった結果が得られ新たな展開につながることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
PODXLノックダウン細胞の結果、内在化への影響やトランスポーター発現と活性への影響を認められた。これらの解析を継続すると共に、内在化に関しては最新プロテオミクスを駆使した、新たな候補のスクリーニングを実施する。
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