研究課題
基盤研究(B)
本研究における「問い」は、ユビキチン化システムにおいて多彩に進化し、遺伝子数を増加させてきたTRIMファミリーが、ヒトの生体機能とどのように連関して進化してきたのかである。そのため、細胞内シグナル伝達などの哺乳類で重要な細胞機能とTRIMファミリーの関係を俯瞰的かつ網羅的に解明することを試みる。最終的には、TRIMファミリーによる翻訳後修飾(特にユビキチン化)の生理機能および疾患との関連の解明を目指し、感染症、自己免疫疾患、がん化、細胞分化、個体発生、神経変性疾患などにおける総合的理解を深める。
申請者らのこれまでの研究により、免疫反応やがん化に関する細胞内シグナル伝達におけるTRIMファミリーユビキチンリガーゼ群の重要性が明らかとなっている。特に細胞増殖のみならず、細胞分化過程を制御するシグナル伝達系やオートファジー制御に、TRIMファミリーユビキチンリガーゼが関与していることが示され、最近では細胞内情報伝達系の多くの分野において注目されている。本申請においては、網羅的ノックダウンスクリーニングやユビキチン化に特化したプロテオミクス的手法により、TRIMファミリーユビキチンリガーゼを基軸とした細胞内ネットワークシステムを網羅的に解析した。さらに、TRIMファミリーのがん化および免疫系での機能を解明することで、臨床医学(自己免疫疾患、アレルギー疾患及びがん等)に貢献する知見(疾患特異的バイオマーカーや創薬シーズ等)を得ることを進めた。今年度もTRIMタンパク質群に関して、その結合タンパク質および基質タンパク質候補を同定し、その機能的解析を進めた。昨年度において、免疫組織化学染色法を用いた鼻副鼻腔粘膜悪性黒色腫(sinonasal mucosal melanoma:SNMM)におけるTRIM27の発現と臨床経過の関連解析を行ったが、今年度は、質量分析器を使用した生化学分析でTRIM27の結合タンパク質を同定し、その機能解析を進めた。その結果、TRIM27は細胞形態変化、発生制御、がん化の制御などに関与するシグナル伝達系に関与することが明らかとなった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 120 号: 24
10.1073/pnas.2218955120
Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry
巻: 94 号: 8 ページ: 667-668
10.1136/jnnp-2022-330194
Rhinology Journal
巻: - 号: 0 ページ: 0-0
10.4193/rhin22.405
Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Cell Research
巻: 1869 号: 10 ページ: 119318-119318
10.1016/j.bbamcr.2022.119318
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 625 ページ: 94-101
10.1016/j.bbrc.2022.08.003
Journal of Dermatological Science
巻: 104 号: 2 ページ: 112-121
10.1016/j.jdermsci.2021.09.007
Frontiers in Cellular and Infection Microbiology
巻: 11 ページ: 655666-655666
10.3389/fcimb.2021.655666
Allergology International
巻: 70 号: 2 ページ: 190-200
10.1016/j.alit.2020.09.007
130008024307