研究課題/領域番号 |
21H02683
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
清木 誠 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50226619)
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研究分担者 |
浅井 義之 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00415639)
浅岡 洋一 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10436644)
徳永 雅之 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10845043)
北川 孝雄 北海道医療大学, 先端研究推進センター, 助教 (20614928)
田尾 嘉誉 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30425417)
有賀 隆行 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 准教授 (30452262)
古元 礼子 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70311818)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | YAP メカノホメオスターシス / 力学恒常性 / 時空間的ダイナミクス制御 / YAP / フィードバック / 立体臓器 / 再生 / 臓器形成 |
研究開始時の研究の概要 |
幹細胞は細胞外基質の硬さに応じて特定の細胞に分化するが、同じ細胞であり続けるために逆に細胞外基質の硬さを維持し組織の恒常性を維持することから力学恒常性と呼ぶ。私たちは、転写共役因子YAPが、力学恒常性を担うことを初めて明らかにした。臓器形成や再生過程においてYAPが制御する力学恒常性は時空間的にダイナミックに制御され、その破綻は組織修復不全やがんにつながるが、その機構は不明である。本研究では、ゼブラフィッシュ尾ヒレ再生系と小腸オルガノイドを用いて、その分子機構を解明する。本研究は、本機構破綻により起こる病態メカニズムの理解や治療法開発の研究基盤となる。
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研究実績の概要 |
本年度は、研究の目的である臓器形成・再生過程でのYAP-MH時空間的ダイナミクス制御に関わる分子を明らかにするための解析を行った。(1)YAP活性化の時空間的パターンの変化を明らかにするために、YAP遺伝子の下流にRFPをCRISPR-Cas9法を用いてノックインしたトランスジェニックゼブラフィッシュを育成中である。これらから、適切な系統を樹立する予定である。(2)これまでに見いだした39のYAPの標的遺伝子の中から、YAP-MH時空間的ダイナミクス制御に関わる新規遺伝子の同定に成功した。候補遺伝子のshRNAを用いてノックダウンしたRPE-1細胞の免疫染色でYAP活性が亢進していた。本遺伝子の全長のcDNAをクローニングしGFPで標識して発現させると細胞膜近辺への局在が見られた。以前の核膜蛋白のBioID解析で同定された蛋白であるため、核膜での機能も持つ可能性がある。現在、YAPの一過性の活性化が重要な役割を果たすゼブラフィッシュヒレの再生過程での本遺伝子の機能解析を行うための準備を進めている。今後は、本遺伝子のYAP-MHの時空間的ダイナミクス制御の分子メカニズムを明らかにするために、BioIDを用いて結合分子を同定し核膜での機能を明らかにする。(3) 本遺伝子のgain-of-function及びloss-of-functionでのゼブラフィッシュヒレ再生系で、組織の力学特性がどのように変わるかを力学測定法により解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、細胞-細胞外基質間の双方向性の力学制御機構メカノホメオスターシスのフィードバックによる臓器力学恒常性に関わる遺伝子同定とその再生への機能解析である。研究計画において(1)YAP-メカノホメオスターシスの新規ネガティブフィードバック遺伝子を同定できた。(2)本遺伝子の力学恒常性への機能を明らかにする解析系の構築も進んでいる。YAPの一過性活性化が再生に必須なゼブラフィッシュ尾ヒレにおける本遺伝子の機能解析を行うためのYAP活性化可視化トランスジェニックゼブラフィッシュの作製と、YAPを可視化した小腸オルガノイドの作製である。更に、この2つの系でgain-of-functionおよびloss-of-function解析を行うためのツールとして、ゼブラフィッシュでのCRISPR-Cas13dによるノックダウン法、小腸オルガノイドでのレンチウィルスを用いたshRNAノックダウンとTet-ONの樹立も進んでいる。(3)本遺伝子の機能解析の際に、組織の力学変化を測定する磁性流体を用いた方法と、磁気ビーズを用いた多点測定法の樹立も進捗している。次年度は、これらの3つの実験を統合して、新規遺伝子の生体での再生と力学恒常性に果たす役割を明らかにする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度には、これまでの3つの研究項目を統合して、本研究の目的である細胞-細胞外基質間の双方向性の力学制御機構メカノホメオスターシスのフィードバックによる臓器力学恒常性に関わる遺伝子同定とその再生への機能を明らかにする。具体的には、本研究で同定したYAP-メカノホメオスターシスの新規ネガティブフィードバック遺伝子と、これまでに同定してきたARHGAP18とARHGAP11Aについて、生体での再生過程での役割をゼブラフィッシュの尾ヒレ再生系を用いて、ヒト臓器のホメオスターシスでの役割を小腸オルガノイドを用いて解析する。 (1) ゼブラフィッシュの尾ヒレ再生系での解析: 新規遺伝子およびARHGAP18とARHGAP11Aについて、CRISPR-Cas13dを用いて幼魚でノックダウンを、mRNAインジェクションによる過剰発現を行い再生への影響を調べる。その際に、YAPの活性化を可視化したトランスジェニックゼブラフィッシュを用いてYAPの活性化動態に変化があるかどうかを、タイムラプス共焦点顕微鏡で明らかにする。更に、これまでに樹立してきた生体での2つの力学測定法を用いて、コントロール胚との違いを明らかにする。 (2)ヒト小腸ホメオスターシスへの役割: (1)と同様に、YAP-RFPによりYAPの活性化をモニターできる腸オルガノイドに、レンチウィルスを介してshRNAノックダウンとTet-ONによる過剰発現を行う。更に、2つの力学測定法を用いて力学特性の変化を明らかにする。以上の2つの実験系により、YAP活性化動態を制御する遺伝子の再生過程およびホメオスターシスでの役割を解明する。
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