研究課題/領域番号 |
21H02689
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
荒木 良子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 上席研究員 (40392211)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | ゲノム初期化 / iPS細胞 / 点突然変異 / マイクロサテライト / 変異 / 分化 / 活性酸素 |
研究開始時の研究の概要 |
iPS細胞には、再生医療のドナー細胞供給源として多くの疾患への応用が期待されている。それ故、再生医療に用いるiPS細胞には、安全性を確保するため様々な基準を満たすことが求められる。その基準の一つがゲノムの完全性であるが、ゲノム解析により多数の変異が検出されるため、移植に用いることができないケースが生じる。そのような状況を無くすためには、変異の原因を理解し、より変異の少ないiPS細胞樹立法の確立が必要である。「ゲノム初期化」時に生じる点突然変異の頻度や特徴、そして変異発生メカニズムを明らかにし、変異の少ないiPS細胞樹立法の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
これまでに、ゲノム初期化が一過性のDNA修復活性低下を伴い、多数の変異発生へ繋がることを明らかにし、その一方で変異の少ないiPS細胞が樹立可能であることを報告してきた(臍帯血赤芽球由来iPS細胞)。今回、更なるiPS細胞の変異低減化を実現する為、変異発生の機構解明を進め、同一の体細胞集団から樹立した多数のiPS細胞株の解析を通してiPS細胞に観察される変異がde novoであることを示し、更に、脱アミノ化によるC>T変異頻度の著しい上昇、DNA脱メチル化とC>T変異の密接な関係、そして特定のレトロトランスポゾンにおける変異上昇など新たなiPS細胞ゲノム特異的変異発生機構の存在を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
同一のゲノムを持つ細胞を異なる形質の細胞へと分化させるエピゲノム制御は、多細胞生物の根源的機構である。エピゲノム変動はゲノム変異を起こさないと信じられてきたが、iPS細胞や核移植ES細胞などエピゲノム状態の大規模再編により創出される多能性幹細胞ゲノムに多くの変異が検出され両者の密接な関係が示唆された。この分子機構の解明はゲノム初期化機構の理解に大きく貢献するだけではなく医学利用の観点からも極めて重要である。実際、iPS細胞の臨床利用が始まっており、将来の利用拡大も強く期待されていることから、iPS細胞及びその由来細胞の全変異の把握はもとより、ゲノム安定性の分子機構解明が喫緊の課題となっている。
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