研究課題/領域番号 |
21H02710
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木戸 丈友 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任講師 (00401034)
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研究分担者 |
田中 稔 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 細胞療法開発研究室長 (80321909)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 肝臓 / iPS細胞 / 肝疾患 / 線維化 / ヒトiPS細胞 / 肝硬変 / 肝星細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
線維化や肝硬変に対する新たな治療法の開発は、肝疾患を制御する上で最重要課題であるが、未だ有効な治療薬は開発されていない。その理由に、肝細胞障害から肝線維化・肝硬変に至る過程を、培養系で再現できる肝疾患モデルがないことが挙げられる。我々はヒトiPS 細胞から様々な肝構成細胞を分化誘導する技術や線維化の主体である肝星細胞の活性化過程を定量的に評価する技術の開発に成功している。本研究ではiPS 細胞由来の肝構成細胞を用いた肝オルガノイド形成法を開発し、肝疾患モデルへ応用するとともに、肝星細胞活性化の制御機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、ヒトiPS細胞からの肝構成細胞分化誘導技術を基盤として、活性化状態をモニター可能なレポーター肝星細胞を肝オルガノイドに組み込むことで、肝細胞障害から肝線維化・肝硬変へ至る過程をin vitroで再現できる肝疾患モデルの開発を計画している。2021年度までに、ヒトiPS細胞由来の静止期星細胞の活性化をFirefly luciferase(Fluc)で評価し、細胞数をRenilla luciferase(Rluc)で評価する系を確立し、Fluc/Rluc値を算出することで肝星細胞一細胞あたりの活性化割合を算出できることを確認した。また、iPS細胞から調製した静止期肝星細胞とヒト肝がん由来細胞株(HuH-7)を用いて三次元共培養系を作製し、肝障害誘導後に肝星細胞の活性化が誘導される可能性を示した。2022年度は、ヒトiPS細胞由来の静止期肝星細胞とヒト初代培養肝細胞の共培養系を作製するため、培養条件を検討した。肝星細胞培養用培地と肝細胞培養用培地を種々の割合で混合し、ヒトiPS細胞由来肝星細胞を培養した結果、肝細胞培養用培地にROCK阻害剤を添加した培地で細胞を維持できることが分かった。また、ヒトiPS細胞から静止期肝星細胞、活性化肝星細胞を調製し、RNAseqを実施した。GO解析、KEGGパスウェイ解析を行い、Neuron、細胞分裂、細胞外基質、発生に関与する遺伝子群に変化が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトiPS細胞由来の静止期肝星細胞とヒト初代培養肝細胞を共培養系する条件を確立した。また、線維化メカニズム解析のひとつとして、ヒトiPS細胞から静止期肝星細胞、活性化肝星細胞を調製し、RNAseqを実施したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトiPS細胞由来の静止期肝星細胞とヒト初代培養肝細胞の共培養系を作製する。共培養による肝細胞の高機能化をCYP3A4、アルブミン、HNF4a等の肝細胞マーカーの発現を指標に解析する。また、作製した共培養系において、肝細胞障害を誘導し、肝星細胞の活性化を評価する。ACTA2遺伝子の下流に挿入したレポーター遺伝子(RFP、Firefly luciferase)、各種のコラーゲン分子(COL1A1、COL3A1等)を解析し、肝細胞障害が肝星細胞の活性化に与える影響を明らかにする。さらに、ヒトiPS細胞から様々な状態の肝星細胞を分化誘導し、RNAseq等のオミクス解析を行い、線維化メカニズム解析に応用する。
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