研究課題
基盤研究(B)
内臓型リーシュマニア症(VL)はリーシュマニア原虫の感染により引き起こされる人獣共通感染症で、ヒトやイヌに重篤な症状をもたらし、年間20-40万人の患者と2万人もの死者を出している。本研究では、VLにおいて『「感染」がどうやって「症状」を引き起こすのか』という疑問に対して、分子生物学や発生工学の技術を駆使して病態形成機序を免疫学的に解明する。臨床現場において感染者のうち発症に至るのは数%である。つまり、症状のメカニズムを理解し、多数を占める無症状感染者の状態を人工的に誘導できれば、現在の化学療法が抱える薬剤耐性や副作用などの問題を軽減する新たな治療法として期待できる。
内臓型リーシュマニア症(VL)はリーシュマニア原虫の感染により引き起こされる人獣共通感染症である。本研究では、ヒトVL患者と同様に貧血や肝脾腫を引き起こすマウス感染モデルを用いて、これら病態に影響する免疫応答を明らかにすることを目的とした。貧血については、原虫の感染がマクロファージの抑制性因子SIRPαの切断を誘導し、血球貪食を誘導することが明らかとなった。また、この血球貪食に関わる因子として新たにATP6V0D2を同定した。このように、リーシュマニア感染が病態形成につながる分子機構について、大きな前進が見られた。
VLはヒトやイヌに重篤な症状をもたらし、年間20-40万人の患者と2万人もの死者を出している。本症の化学療法は効果、副作用、治療期間、価格、薬剤耐性株の出現などの問題点を抱えるため、新規の治療法が望まれている。本研究では、本来は我々の体をまもる免疫が症状の原因となる「免疫病態」の解明を目指し、宿主因子であるSIRPα、ATP6V0D2、BAFFの関与を明らかにしてきた。このように、原虫の生存や病態に関わる免疫機構を明らかにしたことは、それを標的とした免疫療法の確立をつながることが期待できる。
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